本格的な鍋のシーズンを前に、色々なタイプの鍋が世間をにぎわせているが、30代40代のビジネスマンが食べたいのは、本格的な味のはず。そこで今回は、干物専門店「銀座伴助」で提供を開始した「干物鍋」を取り上げたいと思う。

  • 干物の概念が変わる! 魚の旨味たっぷり「干物鍋」はこの冬イチオシ

    こんなにも色んな具材が入っているのに、味はすごく純粋

高級干物店の新しい試み

地下鉄・東銀座の駅を出て徒歩2分ほど。2016年にオープン、今年3月に移転して現在の場所に店舗を構える「高級ブランド干物『銀座伴助』銀座本店」は、創業65年を誇る上質なブランド干物「伴助」の旗艦店。

  • 銀座の街中に似合う凛とした佇まいの店構え

干物といえばここ、というファンも多く、自宅用に贈答用にと、店頭にはひっきりなしにお客さんが訪れていた。こちらのお店では、店頭で干物を販売しているだけでなく、レストランも併設。今回、秋・冬メニューとして「干物鍋」を10月4日から提供スタートした。

  • 店頭にも美味しそうな高級干物がズラリ

分厚くて魚の旨味が詰まった干物

干物を鍋にするというのは初の試みということで、試行錯誤を重ねた結果、赤魚と縞ホッケであれば干物でも鍋で美味しくいただけるということで、メニューに加えることになったという。サバなどの光り物は、もともと旨味が強いので、鍋にするとクセが強すぎるのだとか。実際に鍋に入れる干物を見てみると、かなり身が分厚い。干物って、もっと薄くて文字通り干し物みたいなイメージだったけど、見た目から明らかに全然違う。

  • 干物の概念が変わってしまうほど、ツヤツヤして身が厚い縞ホッケ

こちらの干物は、魚醤やホタテエキスを隠し味にした秘伝のタレに漬け込み、乾燥工程では「2段階高温熟成法」を採用。最初に緩やかな高温にあてることで、干物表面に膜を作り、身の部分の保湿効果を高め、魚の旨味を凝縮。さらに、冷風で締めて身の中で旨味をじっくり熟成させてから、最後に再び高温の強い風をあててパリッと美しいツヤのある干物に仕上げているという。そこまでとことん手間ひまをかけた干物なら、鍋に入れたら相当旨味が出てくるのでは? と期待が高まる。

  • こちらは赤魚の干物。魚は開くときに両面に骨が乗るように背骨の真ん中からカットしているというから驚きだ

ちょっと気になるのが、魚の骨。干物を食べるときには細かい骨を取りつつ食べるが、それを鍋でやるとなるとちょっと面倒だし、食べたときに骨が口に入ると、ちょっとテンションが下がるもの。ところが、干物鍋にはそんな心配は一切必要なし。なんと、職人さんが骨を1本ずつ丁寧に取り除いた干物を使用しているというから、干物鍋にまったく死角なし。では「骨取り干物 絶品だしちゃんこ」(2人前税別4,500円)を早速いただいてみよう。

  • かなりボリューム満点な「骨取り干物 絶品だしちゃんこ」(2人前)

魚の旨味が溶け込んだ「干物鍋」

ベースの出汁は昆布や鶏でとったやさしい味。そこに、まずは白菜、春菊、椎茸などの野菜、焼豆腐、しらたきなど、ちゃんこの定番具材を入れていく。さらに、岩手県岩中豚バラ肉、宮崎県日向鶏もも肉を加える。魚だけではなく、肉も加えた贅沢極まりないちゃんこ鍋なのだ。そして、縞ほっけ、赤魚を投入してしばしグツグツと煮て、いよいよ干物鍋初体験。いただきます!

  • たっぷり具材が入った鍋に主役の干物を投入!

スープを口に入れると、最初にかなり上品な塩気を感じた。これだけの具材が入っていれば、普通はよくも悪くも雑味のあるスープになるものだが、この鍋は澄み切った和風の出汁が体中に染みわたるように、美味い。そして、干物を箸で取ってみると、まったく身が崩れていない。ふっくらした身はホクホクで、口の中でホロホロとほどけるようだ。

  • 鍋の中に入っても、身が崩れずにしっかりとした干物の美味しさがあるのが特長

しかも、ひと口食べてわかったのは、単なる鍋に入った魚ではなく、旨味が閉じ込められた「干物」の濃い味、食感がしっかりと感じられるから、なんとも不思議だ。こんな鍋、食べたことないぞ。そして何より嬉しいのは、骨を気にせずに魚を食べられること。魚が主役で、こんなにストレスなく楽しめる鍋はやっぱり初めてだ。魚だけだとあっさりしすぎてしまうため、コクを出すために加えているという豚肉、鶏肉、選び抜かれた新鮮な野菜を含め、すべての具材がお互いを邪魔せずに引き立てあっているから、バランスがよくまったく飽きることなく食べ進めることができた。

シメの雑炊もこだわりの味わい

そして、シメの雑炊がまた最高。使用するお米は、五つ星米マイスターによって5種類ほどがブレンドされたもので、中には日本で1人しか作っていないお米も入っているのだとか。そんな貴重なお米を炊いたご飯を、旨味がたっぷり染み出したスープで雑炊にしたら、そりゃあ美味いに決まってますよ。

  • シメの雑炊がたまらなかった、本当に

ボリュームたっぷりで食べ応えありな鍋だったけど、シメの雑炊までまったく食べ飽きることなく、堪能することができた。

干物鍋を単品で注文(2人前から)することもできるし、干物鍋に特大とろさば開きがついたAコース(2時間1名税別6,000円)や、特大とろきんき開きが付いたBコース(2時間1名税別7,000円)、さらに特大のどぐろ開きが付くCコース(2時間1名税別8,000円)という「忘年会&新年会 飲み放題付きプラン」もあり。2019年2月末まで提供予定とのことなので、まずは社内のみんなより一足先に「干物鍋」を味わいに足を運んでみては?

  • 鯖専用日本酒「SABA de SHUサバデシュ」等、日本酒のラインナップも個性的

●information
高級ブランド干物『銀座伴助』銀座本店
東京都中央区銀座5-14-8
営業時間:
(物販)
月~日 11~23時
(飲食)
月~金 ランチ 11~15時(L.O.14時30分)
ディナー 17~23時(L.O.22時)
土日祝 ランチ 11~17時
ディナー 17~23時(L.O.22時)
休:なし