ジャニーズJr.の安井謙太郎が主演を務め、山本涼介、森田美勇人(ジャニーズJr.)、灯敦生といったフレッシュなメンバーが集まった青春映画『ニート・ニート・ニート』(11月23日公開)。三羽省吾による同名小説を実写化した同作は、3人のクズニートとワケあり家出少女が北海道を駆け巡る、ロードムービーとなっている。

若手イケメンが3人そろえば、キラキラした映画が出来上がりそうな予想をしてしまうが、メガホンをとった宮野ケイジ監督は「王道を外したかった」と語る。公開日の決定や予告編がSNSでトレンドとなり、テレビでも紹介されるなど話題の同作だが、今回は宮野監督にインタビューし、3人のニートたちの印象や、キャスティング理由などについて話を聞いた。

  • 宮野ケイジ監督

少し物悲しい青春映画にしたかった

――今回はレンチ、タカシ、キノブーという3人のニートたちが中心となって物語が動いていきますが、この3人はどういう理由でキャスティングされたんですか?

脚本の初稿をあげた段階でキャスティングに入っていったんですが、キャスティング担当の方から「ジャニーズJr.の方に主演をお願いするのはどうだろう」という提案があり、ライブ映像を見せていただいたんです。

――演技じゃなくて、ライブ映像だったんですね。

演技は、あまり興味がなかったんです。どちらかというと、彼らの主戦場であるライブを見たかった。いくつか映像を見せていただいたときに、ライブの中でのロックバンドのようなパフォーマンスが気になって、中でも目を引いたのが、安井くんでした。リーダー的存在でもあったし、キラキラしていました。だから、演技は全然見ないでレンチ役を安井くんにお願いしました。

――それは、彼らが本業で輝いている部分を演技に活かして欲しかった、ということでしょうか?

そうですね。だから本域の佇まいが見たくて、それで十分でした。他にも映像資料はあったんですが、彼らが過去に出演したドラマや映画は、全く観てないです。ライブ映像を見て、最初に安井くんを主演に決めました。ただ僕は少し意地悪な見方もするので、安井くんにはキラキラしているだけじゃなくて、裏側もあるんじゃないかな? と探したくもなって、そこが今回合っていたのかもしれません。

キノブー役の森田くんは、安井くんと一緒にライブに出演していて、ダンスがキレッキレだったことが印象的でした。キノブーは運動神経がない役なので、森田くんが演じたら面白いんじゃないかと思ったし、本人的にも演じがいがあるのではないかと。タカシ役の山本君は唯一、過去のお芝居を観せてもらいました。

――山本さんはどういう点が良かったんですか?

山本くんはもう、正統派というところですね。安井くん、森田くんとの3人のバランスを考えて、お願いしました。でも決まってから「あ、イケメンばっかりだ。どうしよう」と思いました(笑)。変な言い方になってしまうんですが、イケメンじゃない子がいた方が、物語を作っていきやすいところはありますから。

――でも、作中で3人がイケメンというのは、まったく押し出されてはいないですよね。

そこはやはり、外していくつもりでした。「”アイドル映画”にしないぞ」という抵抗をすることによって、違う角度の青春映画になるのかな、と思ったんです。だからどうしても、王道は外していきたかった。全体の世界観として、若者に対するメッセージがある、ということでもない。少し物悲しい青春映画にしたいという思いがあり、カット割りも含めて、「普通ならこうだよ」という部分から、少しずつずらしていきました。