コミュニケーションは良好な人間関係を作るためには欠かせないものであり、仕事の場面でも大いに役立ちます。コミュニケーションの質は、コミュニケーションスキルを伸ばすことで高めることが可能です。
本稿では、そんなコミュニケーションスキルについて、どういったものがあり、どうやって伸ばせばいいのかを解説します。
コミュニケーションとは?
私たちは普段「コミュニケーション」という言葉をよく耳にしますが、そもそもコミュニケーションとはどういうものなのでしょうか。
●コミュニケーションはキャッチボール
コミュニケーションを構成する要素を分解すると、以下の2種類になります。
・伝えること
・受け取ること(聞くこと)
また、コミュニケーションの語源とされている、ラテン語の「communis」には「共有する」という意味があるため、伝えることと受け取ることをお互いに共有している状況がコミュニケーションであると考えることができます。
この状況は、キャッチボールに似ているといえます。キャッチボールは1人では行うことができず、相手が必要です。さらに、一方的にボールを投げることもできず、自分がボールを投げたら次は相手が投げ、自分はボールを受け取る側に回ります。つまり双方向で行われているのです。
この点で、コミュニケーションとキャッチボールは共通しています。
●コミュニケーションによってできること
コミュニケーションによってもたらされるものとしては、以下の2点が考えられます。
・相手のことがわかる
・自分のことをわかってもらえる
当たり前のことですが、自分の考えや意見を相手に伝えると、それを受け取った相手はその人がどんな人で、どんな考えを持っているのかがわかります。
コミュニケーションはキャッチボールなので、ボールを受けた相手は、自分の投げたボールに対する意見や考えを投げ返します。そのボールを受け取ることで自分も相手のことを知ることができるというわけです。
●日常生活でのコミュニケーション
お互いについての理解を深めることができるコミュニケーションは、普段の生活でも頻繁に行われています。
例えば会社の同僚と会話を通して仲を深める、クライアントと議論を積み重ねて理解し合うといったことが挙げられます。
コミュニケーションに必要なスキル
コミュニケーションは大きく分けると、「伝えること」と「受け取ること」に分けられるため、必要なスキルもそれらに関連するものとなります。
●話を聞くこと
相手の話の内容をきちんと理解できなければ、適切な返答ができません。また、相手がどういった意図を持っているのか、こちらに何を求めているのか、といったことを話の内容から汲み取ることも重要です。
●伝えること
伝えるといっても、使用する言葉の選び方や話す際の声の調子、話すスピードなど、細かく分類すると多岐にわたります。また、誰と話すかによって話す内容も考慮しなくてはいけません。
●質問やリクエスト
キャッチボールを繰り返すために欠かせないのが、質問やリクエストをすることです。
例えば、好きな食べ物の話をしている時に
「なんでその食べ物が好きなんですか?」
「おすすめのお店はありますか?」
と質問をすることで、相手は必然的に返答をしなければいけなくなり、キャッチボールが続きます。
●相槌
相槌は話を聞く時に活用できるスキルの1つです。
例えば、相手の話に対して、「うん」「はい」など相槌を打つことで、相手に話をちゃんと聞いていることをアピールすることができます。
●相手を見る
相手を見ることも話を聞いているということをアピールするスキルです。話を聞くのはもちろん、聞く姿勢もコミュニケーションに大きく影響するため、忘れないようにしてください。
スキルを磨くには
では、コミュニケーションスキルを磨くにはどういったことができるのでしょうか。ポイントを6つ紹介します。
●コミュニケーションは相手のためであると考える
まず、心構えとして、コミュニケーションは自分のためではなく相手のために行っている、と考えるようにしましょう。
繰り返しますが、コミュニケーションはキャッチボールです。相手がキャッチできなければキャッチボールは成立しません。
相手のことを考えて相手が受け取りやすいボールを意識することは、非常に重要です。だからこそ、自分のためではなく、相手のために行っているということを忘れてはいけないのです。
●相手に興味を持つ
相手のためにコミュニケーションを行うからには、相手に興味を持つことが不可欠です。興味が持てれば、より相手のためにいいボールを投げようと心がけるはずです。
●質問力を身につける
キャッチボールはこちらから投げ返すこともあります。投げ返す際に用いるのが質問です。質問は相手が何を返答すればいいのかがわかりやすいため、相手にとっても受け取りやすいボールになりやすいといえます。
●目的や結論を先に持ってくる
話が長い人や何が言いたいのかわからない人と会話をしてイライラしてしまう、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?
そういった思いを相手にさせないためにも、話の目的や結論は最初に持ってくるようにしましょう。
●非言語を意識する
例えば、表情や声のトーン、声の大きさ、話すスピードなど、言葉以外の要素を用いることでコミュニケーションはより円滑になります。
にこやかな表情であれば相手に安心感を与えることができますし、ハキハキと大きな声で話すと相手は話が聞き取りやすくなります。
●バックトラッキング
バックトラッキングとは簡単にいうと、オウム返しのことです。ただし、オウム返しといっても、相手の発した言葉をそっくりそのままいうのではありません。
相手が話した要素を会話の中に組み込むことで、相手はちゃんと話を聞いてもらえていると安心し、あなたのことを信頼してくれます。
例
相手:最近疲れが溜まってて……
自分:疲れが溜まってるんだ
相手:そうなんだよ。仕事が忙しくて睡眠時間が減ってるんだ
挨拶でコミュニケーションスキルを磨く
コミュニケーションスキルを磨きたいという人におすすめなのが、挨拶をすることです。なぜ挨拶をすすめるかというと、挨拶には以下のような特徴があるためです。
・毎日行うものなのでトレーニングとして継続しやすい
・挨拶は相手のために行うもの
・コミュニケーションが苦手な人でも取り組みやすい
・非言語の部分をコントロールできる
・相手のことを見て行うものである
何気なく行う挨拶ですが、考え方次第で、コミュニケーションスキル向上に役立つトレーニングにすることができます。
コミュニケーションスキルは難しいものではない
苦手な人にとっては難しく思えるコミュニケーションも、一つひとつの要素は非常にシンプルです。今回紹介したポイントを意識するだけでもスキルを磨くことができます。
ぜひコミュニケーションスキルの向上に取り組んでみてください。