会社は、妊娠中または出産後1年を経過しない女性社員に対して、健康管理上の措置を講ずることが義務付けられています。内容は会社ごとに異なりますので、ご自身が働いている会社の規定を確認してください。一部の例を下記にてご紹介します。

・保健指導、健康診査を受ける時間の確保

妊婦健診などでの通院に備え、一定の条件のもとに所定時間内の通院を認めます。

・休業の制限、休業などの措置

妊娠中に医師らの指導があった場合は、一定の作業の軽減や勤務時間の短縮、休業などの措置をとります。

・通勤緩和措置、勤務時間の短縮

妊娠中に医師らの指導があった場合は、通勤時の混雑を避けるため時差通勤や勤務時間の短縮を認めます。

・休憩時間の延長、休憩回数の増加

妊娠中に医師らの指導があった場合は、休憩時間の延長や休憩回数を増やします。

出産がずれこむと産休が長くなる

産休は、おおむね出産日前6週間と出産日後8週間取得できます。ただし、出産日と予定日はずれることが多々あります。そのような場合、以下の考え方が適用されます。

産前の休業期間(原則6週間、多胎の場合は14週間)は「予定日」を基準とします。2018年9月6日出産予定日の場合、7月27日~9月6日が産前の休業期間です(出産日は産前休業に含めます)。

産後の休業期間(原則8週間で、本人の希望&医師のOKが出た業務であれば産後6週間経過後の就業が可能)は「実際の出産日」を基準に計算します。

上記の2018年9月6日を予定日と仮定した場合の複数の具体例をもとに、産休期間について詳しくみてみましょう。

ケース(1)9月6日出産の場合(実際の出産日=予定日)

産前休暇は7月27日~9月6日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月7日~11月1日です。産休の日数は98日になります。

ケース(2)9月10日出産の場合(実際の出産日が予定日より遅くなるパターン)

産前休暇は7月27日~9月10日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月11日~11月5日です。産休の日数は102日になります。

ケース(3)9月2日出産の場合(実際の出産日が予定日より早まるパターン)

産前休暇は7月27日~9月2日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月3日~10月28日です。産休の日数は94日になります。

計算方法の詳細を確認すると、実は出産予定日よりも実際の出産日が遅くなった方が、産休は長く取得することができます。

妊娠から出産までは、さまざまな配慮や保護を受けられます。事前にしっかりと流れを把握して、準備しておくとよいでしょう。

※写真と本文は関係ありません

■ 筆者プロフィール: 落合直美

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所アウトソーシング事業部所属。
大学卒業後、証券会社に就職し、営業部に配属される。上司や同僚など、働く人の様々な悩みやトラブルを目の当たりにし、労働環境を整えることの大切さを痛感。その後、労働問題を扱う法律事務所に転職し、社会保険労務士を志す。
試験合格後、社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所に入所。数名から300名規模のクライアントの給与計算と社会保険手続きに従事した後、現職にてさらに多種多様な社会保険手続きの経験を積んでいる。プラスアルファの付加価値を提供できる「会社と労働者の熱血サポーター」となるべく、日々奮闘中。