『このミステリーがすごい! 大賞』の優秀賞を受賞した佐藤青南の同名小説をドラマ化した『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官 楯岡絵麻』が、現在BSテレ東で放送中だ。人が嘘をつく瞬間に0.2秒間だけ現れる、その人固有の“マイクロジェスチャー”を読み取り「被疑者の嘘を見破る」女性刑事・楯岡絵麻の活躍を描いた本作。被疑者の心を開くために“キャバクラトーク”も繰り出す一風変わった刑事を演じる栗山千明に、ドラマの魅力や仕事観について話を聞いた。

  • 栗山千明 撮影:島本絵梨佳

    栗山千明 撮影:島本絵梨佳

心理学にも興味

――今回栗山さんが演じられている役どころは、行動心理捜査官。各話ごとに心理学の専門用語がたくさん登場します。まず台本を読まれたときの印象はいかがでしたか。

確かに「マイクロジェスチャー」「パーソナルスペース」「短期記憶障害」など専門用語が多くて「これは大変なことになる」と覚悟を決めましたね。でも、もともと心理学には興味がありましたし、お話がとても面白かったのでやり甲斐を感じました。

――絵麻は相手の緊張を解くために他愛のない話をしながら、相手の嘘をズバリ見破っていきますが、その間、わずか0.2秒です。

「このドラマが終わる頃には、普通の会話でも嘘を見抜けるようになるかもしれませんね」とおっしゃっていただくこともあるんですが、0.2秒で嘘を見抜けるわけがない!(笑) 一瞬の嘘を見破る力は、絵麻の才能です。

第3話の堀内敬子さん扮する霊能者とのバトルは、演じていて緊張しました。被疑者が男性の場合は甘い口調で“キャバクラトーク”を駆使する絵麻ですが、今回は女同士。しかも相手が霊能者ということもあり、それぞれが心を読み取る技を使うんです。カットがかかった後はぐったりしました(笑)。

――ご自身は絵麻というキャラクターをどのように捉えていますか。

強い女性だと思います。それは、誰に対しても正直で素直だから。そして、絵麻は相手の嘘が見抜けてしまうが故に婚活もうまくいかない。自分だったら、相手の建前と本音がわかった時点ですぐ心が折れちゃうと思うんですよ。でも彼女は結婚を諦めていない。ここにもメンタルの強さを感じますね。

ただいくら被疑者の心を開くためとはいえ、ぐいぐい攻めすぎ? と思う瞬間もあります。例えば第1話で、いきなり被疑者の手を撫でたり……。事件解決のために手段を選ばないのは良いことですが、たまに「この子のテンション、大丈夫かな?」と思いながら演じています(笑)。

――この作品を女性から見ると、謎解きの気持ち良さと、同じ女性が活躍している気持ち良さ。2つの爽快感があり、明日からの仕事を頑張ろうという意欲がわいてきます。

確かに気持ちいいですよね。宇梶剛士さん演じるベテラン刑事に対し、絵麻は、刑事らしからぬ刑事だし、いわゆる新人類。普通は“出る杭は打たれる”じゃないですけど、新しいものってなかなか周囲に受け入れられないと思うんです。でも、絵麻のように個性の強い人が活躍する姿は痛快ですし、「自分を曲げなくてもいいんだ!」と背中を押してもらう感覚になるというか。