――若林さんと安島さんは、かれこれ10年来のお付き合いで、多くの番組でご一緒されているそうですが、あらためて出会いのところから教えていただけませんか?

若林:最初は沖縄料理店でメシ食ったときですよね(笑)

安島:オードリーさんが『M-1グランプリ』で決勝に行かれたちょっと前ですね。それまで全くお仕事をしたことはなかったんですけど、すごく面白いコンビがいると思って、1回若林さんと春日さんとマネージャーさんと僕を含めたスタッフとで行ったんです。その後、なぜか若林さんとプライベートでも会う関係になったんですよね。春日(俊彰)さんとは仕事だけの関係です。『得する人損する人』で東大受験もしてもらいましたけど(笑)

――何か馬が合ったんですね。お互いについて、どう見ているんですか?

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若林正恭
1978年生まれ、東京都出身。00年に春日俊彰とナイスミドルを結成し、後にオードリーに改名。08年『M-1グランプリ』準優勝。現在のレギュラー番組は『犬も食わない』のほか、『スクール革命!』『ヒルナンデス!』『オードリーのNFL倶楽部』(日本テレビ)、『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日)、『ソレダメ!~あなたの常識は非常識!?~』『超かわいい映像連発!どうぶつピース!!』『ひらがな推し』(テレビ東京)、『潜在能力テスト』(フジテレビ)、『セブンルール』(カンテレ)、『オードリーさん、ぜひ会って欲しい人がいるんです!』(中京テレビ)、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)。

若林:業界の先輩だし、年上だし、いろんなこと知ってるし、お笑いも相当教わってきたんですけど、僕、安島さんに自分のことを包み隠さず何でもかんでもしゃべっちゃうんですよ。2008年くらいからテレビの仕事をいただくようになって、「どうしても納得行かない」とか「あの番組はどうやったらいいのか」とか「スタッフさんってああいう時どう思ってるの?」とか、分からないことを全部しゃべってて。だから、安島さんと日本テレビの番組のことで打ち合わせしてるのに、他局のレギュラーのことを相談したり(笑)、そういうことが多々あるんですよ。だから、たまに家帰るときに「そう言えば安島さんって、テレビマンだよな」って思うことがあって、反省してます(笑)

安島:ちょっと、隙を見せすぎなときがありますよね。僕、日本テレビのスタッフですから(笑)

若林:でも、それが当たり前になっちゃったから(笑)。安島さんが全然関係してないライブについても、「この後ってこれでいいんですかね?」とか聞くときもあって。今質問を受けて、ぶっきらぼうに聞きすぎてたなと思いました(笑)

――オードリーさんや若林さんの単独ライブの演出を、安島さんが担当されたこともあるんですよね。

若林:お笑い芸人をやっていると、いろんなスタッフさんに出会っていくんですけど、その中でも自分が100任せられるっていうのが安島さんなんです。ということは、俺が1も考えなくてよくなるっていう(笑)。DVDのパッケージ写真とかポスターとかグッズのTシャツとか、自分たちが選ばなきゃいけないことを考えなくてよくなって、ちょっと楽しちゃってますね(笑)

――それくらい信頼を寄せているんですね。

安島:ありがとうございます。僕も、なぜか若林さんが他局で新番組が始まると、初回をチェックする習慣がついて、見終わった後に「『激レアさん』は本気でやったほうがいい番組だね」とか「『潜在能力テスト』は大事だよ」とか言ったりしてます(笑)。だから、こっちも帰りにモヤモヤしてますね。「あれ、芸人さんだよな?」と思って(笑)

若林:(笑)

細分化された同士が戦う

――今回の『犬も食わない』は、最初から若林さんでと決めていたんですか?

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安島 隆
1973年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、96年に日本テレビ放送網入社。オードリー・若林の出演番組は『潜在異色』『たりないふたり』『ぜんぶウソ』『コレってありですか?』『ヨロシクご検討ください』を担当し、『オードリーのまんざいたのしい』『若林正恭のLove or Sick』といった単独ライブも演出。その他の主な担当番組は『落下女』『解決ナイナイアンサー』『ウーマンオンザプラネット』『得する人損する人』など。

安島:そうですね。もともとコントとかネタ番組が好きな人間なんですが、久々にこういう番組の企画が通ったんです。若林さんとは、前に『これってありですか?』という番組で、まさにコントのプレイヤーとして出てもらっていたので、お互いに年齢も重ねてステップを踏んできたこのタイミングで作る番組は、若林さんにコントを見てもらいたいなという思いがありました。それは、もちろん安心感が高いんですけど、緊張もすごくあるんですよ。普段、偉そうに「あの番組は大事だよ」とか言ってるけど、こっちの出すカードが色あせていたら恥ずかしいじゃないですか(笑)。だいたい若林さんは「安島、こう来るか」と読んでくるので、そうじゃないカードを出さないといけないと思って、こんなヘンテコな番組になったんです(笑)

――そんな気合の入ったコントVTRを受けて若林さん、いかがですか?

若林:でも、本当に興味深いんですよね。というのは、日本人がみんな共通で感じる“あるある”が、趣味嗜好が細分化・多様化でだんだんなくなっていく中で、今回の番組は細分化された同士が戦ってるんですよ。だから、コントに出てくるような人に直接被害を受けてる人はもちろん笑うし、それを食らってない人も「こういう人がいるんだ」っていうので笑えるんですよね。それと、やっぱり演者の人が毎回キャラクターにバチッと合うので、見るのが楽しみです。1人で5~6分あるコントVTRを深夜に流すとなったときに、気合入らない芸人はいないと思うんですよ。そういうのも感じられて、良いですね。

――趣味嗜好が細分化された中でのネタ作りという点で、ご自身にもヒントになる部分はありますか?

若林:めちゃめちゃありますね。でも、今日収録してて気づいたんですけど、人間のおかしみとか、くだらなさとか、ムカつくところって、実は全部共通してるんですよ。普遍的なものが“側”だけ違うだけで。みんな、どうしても「自分が正しい」と思いたい“もがき”が面白いというところがあるんですよね。

――いろいろお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。では最後に、今夜(10月26日深夜1:20~)の放送の見どころをお願いします。

若林:【王道ハロウィン女子(紺野ブルマ) VS 地味ハロウィン女子(長井短)】は時期的にも合ってるし、また皆さんのTwitterが盛り上がるんじゃないかと思いますね。

安島:ハロウィン女子の対決は、実は初回の【自撮りマスト女子VSインスタパトロール女子】と構図が似てるんです。「自分で弾けて楽しい人」と「それを違う目線で入る人」っていうのが、この番組のデカいテーマだったりもするんですよね。あと【人気Youtuber VS Youtuberをナメてるおじさん芸人】で春日さんも出ます。YouTuberナメてるおじさん芸人という設定で、四千頭身さんが演じる人気YouTuberに痛い目にあうので、楽しみにしてください(笑)