万が一クレジットカードを失くしてしまったときには、少しでも早く対処するのが賢明です。でも、いざ失くしてしまったときには、なにから手をつければよいのでしょうか? 初めに連絡すべき先はどこなのでしょうか?
今回は、クレジットカードを紛失した際の対処法について解説します。
紛失したと分かったらまずカード会社に電話
カードを失くしてしまったときには、一刻も早くカード会社に連絡しましょう。すると、失くしたカードを無効にしてもらえます。無効にすると、そのカードは以後使えなくなります。
紛失した際のカード会社の窓口は一般的に「紛失盗難受付デスク」と呼ばれていて、各カードの発行会社が設けています。国内外を問わず24時間365日電話を受付し、もしも海外旅行中にカードを失くしてしまっても、時差を気にせずに紛失の連絡をできます。
電話番号は0120から始まるフリーダイヤル、または0570から始まるナビダイヤルの電話番号のことが多く、携帯電話からの通話の場合は03などから始まる一般回線のこともあります。カードのブランドによっては海外から電話をするときには、国別に電話番号が設定されており、その番号から日本国内のデスクにつながります。
一部では、外国にお客様対応用のカード会社のオフィスが設けられていることもあります。いずれの場合も、原則として日本語で対応してもらえます。
カード会社の窓口に連絡するときには、基本的にはカード番号や有効期限を伝えますが、カードを失くして手元にない時には番号などがわからないかもしれません。そんなときには氏名や生年月日などの本人確認情報を伝えれば、対応してもらえるはずです。
電話がつながったら、失くしたことに気がついた日にちや状況などを伝えることが多いようです。そのカードが最後に使われた場所を教えてもらえることもあるので、不正利用が心配なときには確認してみましょう。
警察・交番にも紛失届を忘れずに
カード会社に連絡するのと同時に、警察にも紛失届を出しましょう。正確には「遺失届出書」といって、最寄りの警察または交番に行って手続きします。失くした場所の近くでなくても、どこでも届け出を出せます。
警視庁のホームページには遺失届出書の書式が公開されていますので、あらかじめ記入して持っていくこともできます。紛失届を出しておくと、もし見つかったときには警察署や遺失物センターから連絡が来ます。
電子マネー、キャッシュカード一体型なら取扱会社にも連絡を
クレジットカードに一体型として電子マネーやキャッシュカードが搭載されていた場合、カードの発行会社とこれらのサービスの取扱会社が違うなら、それぞれの取扱会社にも連絡しましょう。Suicaなどの交通系電子マネーICカードなら、駅や営業所で手続きが必要なことが多いです。楽天Edyやwaonなどの電子マネーは、カードの種類によって連絡先が異なります。
手持ちのカードの取扱会社を確認して、電子マネーの利用停止や再発行の手続きをしましょう。その時点で残っていた残高は、カードによって再発行したカードに引き継げるものもありますが、引き継げないものもあります。
銀行のキャッシュカードが搭載されていれば、銀行での紛失手続きが必要です。カードによってはインターネットバンキングから利用停止をできるものもありますが、電話や郵送、窓口で手続きが必要なこともあります。
ポイント・マイルは移行できるものもある
クレジットカードの利用停止をして、新しいカードを再発行すると、新たなカード番号が付与されます。このため、古いカードで貯まっていたポイントを引き継げないことも多いです。
一方で、クレジットカードにポイントカード機能が一体になったタイプでは、ポイントカードを新しいクレジットカードに移行できるものもあります。クレジットカードの会員番号とは別にポイントカードの番号がついている場合などがあたります。
航空会社のマイルが貯まるタイプのクレジットカードも、多くはカード番号と別にマイレージ会員の番号がふられています。この場合も、カードの再発行をするとマイルの残高が移行されることが多いようです。
紛失届を出すとApple payも使えなくなる
Apple payなどスマートフォンでの決済にクレジットカードを設定していて、そのクレジットカードを失くしたときには、カードの紛失届を出すとApple payでも決済ができなくなります。かりに失くしたカードが見つかっても、カード会社で利用停止の手続きが完了してしまうと、古いカードに紐づけた決済はできません。新しいカードが再発行されたら、スマートフォンから再設定するようにしましょう。
クレジットカードを紛失した際、考えられる悪影響
カード会社に紛失した旨を連絡してカードを無効にすると、かりに後で見つかってもそのカードを再び使うことはできません。ですから「もしかしたら見つかるかも」というときには、無効にするのが面倒と思うかもしれません。しかし、不正利用を防ぐためには速やかに無効にする方が安心です。
不正利用とは、自分の手元から離れている間に第三者によって悪用されることです。具体的には、拾った人が自分になりすましてカードで勝手に買い物をしてしまう、偽造カードを作るのに悪用される、現金化といってお買い物の支払いをするために設定されているショッピング枠を換金するのに使われてしまうなどが考えられます。
紛失したときに備えて日頃からできる対策
このように、万が一クレジットカードを失くしてしまったら、できるだけ速やかに対処したいもの。そのためには、日頃の対策も有効です。
たとえば、手持ちのカード番号と紛失盗難デスクの電話番号を控えておくこと。特に複数のカードを持っているときは、どこの会社に連絡すればよいのか調べるのも手間がかかりますから、リストにしておくとスムーズですね。
失くしたことに気がつくまでに不正利用され、被害が大きくなるのを防ぐには、カードの利用明細をこまめにチェックするのもよいでしょう。オンラインの利用明細なら、1カ月に1回紙の明細が届くのを待たずに利用履歴を確認できます。また、ICチップ付のクレジットカードを使う、カードの暗証番号をわかりにくいものにしておくなども、不正利用を防ぐうえで有効です。
ただ、もしも不正利用されてしまっても、一定期間なら保障されます。「会員保障制度」といって、紛失・盗難の届け出から60日前までで不正利用された金額は、カード会社が代金を保障してくれます※。
※キャッシングや暗証番号が使用された取り引き等、一部保障の対象にならないものもあります。
財布ごと落としたり、失くしたりすると、クレジットカード以外にもいろいろなものの利用停止や再発行の手続きをしなければならず、パニックになってしまうかもしれません。これらの対策を知っておくと、いざというときにもスムーズに対処できますね。
※写真と本文は関係ありません
![]() |
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。