悩む人がいる一方で円滑な人もいる人間関係。両者の間に差を生んでいるのが「コミュニケーション能力」の有無です。

本稿では、ビジネスシーンから日常生活まで重要な役割を果たすコミュニケーション能力の、定義や鍛える方法を紹介します。

  • コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力とは、他人と関わり社会を形成するために必要な「ソーシャルスキル」のうちのひとつです。近年では、コミュニケーション力や、略語の「コミュ力」という呼ばれ方をすることもあります。

3つの要素から成り立つ

コミュニケーション能力は、「相手に伝える力」「相手の情報を受け取る力」「非言語コミュニケーション」の3つの要素から成り立つと、コーチング(対話のスキル)では考えられています。

●伝える力:話す、書くなどの方法を用いて、相手に情報や気持ちを正確に伝える能力
●受け取る力:聴く、読む、書く、会話するなどの方法を用いて、相手の情報を正確に受け止め、理解する能力
●非言語コミュニケーション:「非言語」、つまり言葉ではない要素から必要な情報を読み取り、伝える力や受け取る力に結び付ける能力。言葉でない要素とは、対面なら相手の表情や声の調子、文書なら語調など。「空気を読む」のも非言語コミュニケーション能力のひとつといえます。

ビジネスシーンでも重要

日本経済団体連合会の調査(※)によると、コミュニケーション能力は、企業が採用選考時に重視する要素の第1位となっています。
※一般社団法人日本経済団体連合会「2017年度 新卒採用に関するアンケート調査結果より」

コミュニケーション能力の有無は、ビジネス上でも重要なポイントだといえるでしょう。また、人と人とのコミュニケーションには、「人間関係を築く」「情報を交換および共有する」「相手を導いたり行動を働きかけたりする」という3つの目的があり、ビジネスシーンにあてはめると、以下のようになります。

●人間関係を築く:職場の同僚や上司との信頼関係、取引先との良好な関係を築けば、仕事や取引も円滑に進みます。
●情報を交換・共有する:報告、連絡、相談の「報連相」、さらに説明が該当します。
●相手に働きかける:上司から部下への指示、命令。上司や取引先、同僚その他への依頼や説得が該当します。

社会全体を形成するうえでコミュニケーションは不可欠ですが、職場や取引先との関係などもひとつの社会です。コミュニケーション能力の有無によって、仕事のやりやすさ、仕事の楽しさが決まるいえるでしょう。

コミュニケーション能力が低い人・高い人の違い

次に「コミュ障」とも呼ばれるコミュニケーション能力が低い人と、人間関係が円滑なコミュニケーション能力が高い人の違いを紹介します。

相手への関心の高さ

相手への関心が低いと、相手が何を求めているかが分かりません。そのため、何度相手とコミュニケーションを取っても、理解や合意に結び付けるのは困難です。一方で相手への関心が高いと、相手の求めることを推し量ることが可能。

そのため、相手の要求や理解を満たすための手法でコミュニケーションが取れ、円滑な人間関係につながりやすくなります。

理論と感情のバランス

相手に何かを伝える方法は大きく分けて2つあります。「冷静に理論的に説明する」、または「感情的に訴える」です。コミュニケーション能力が低い人は、どんなときも理論的に説明するため冷たい印象を与えたり、逆にすぐに感情的になって話が決裂してしまったりと、伝える方法がどちらかに偏っている場合が多いです。

コミュニケーション能力が高い人は、相手や状況に応じて、理論的に説明するか感情に訴えるかを使い分けて、的確にコミュニケーションが取れます。

伝え方のスキル

「人と話すのは好きなのにうまくコミュニケーションが取れない」、と言う人も少なくありません。相手に自分の情報を伝えるときには、目的や結論をはっきりと持って伝えられているかがポイントです。

コミュニケーション能力が低い人は、目的や結論がぶれてしまったり、回りくどい話し方をしてしまったりして、結局相手の理解が得られないことが多いです。

これを繰り返すと相手の自分に対する関心が薄れ、さらにコミュニケーションが取りづらくなる悪循環に陥ってしまいます。

一方でコミュニケーション能力の高い人は、目的や結論に導くための話し方も上手です。例え話やネタを持っていたり、簡単な言葉に言い換えて分かりやすく説明したりして、相手を理解させることができます。

コミュニケーション能力を鍛えるテクニック

コミュニケーション能力が低いと悩む人のために、コーチングの考えをもとにしたコミュニケーション能力を鍛えるテクニックを紹介します。

「安心感」でコミュニケーションを取りやすくする

相手が安心感を持つと、自分を受け入れてくれる、つまり話をしっかり聞いてくれる態勢になるため、こちらの言いたいことが伝えやすくなります。

安心感を与えるには、相手と同調することで孤独感をなくし、安心感を与える「ページング」、相手に安心感を持たせる態度や姿勢、口調を心がける「ノンバーバル」、相手の存在を承認する「アクノレッジメント」などの手法があります。

聴くためのスキルは「質問」と「沈黙」を上手に使う

相手の情報を正確に聴き取り、理解するのもコミュニケーション能力においては重要。まず、相手の話を最後までしっかり聴くことを心がけましょう。そのうえで、相手に質問をしたり、たまに間をおいてみたりと、質問と沈黙を上手に取り入れるのも有効です。

「フィードバック」と「提案」をしてみる

相手に伝える、相手の話を聴く、この2つが上手にできても、会話のキャッチボールが成立しなければコミュニケーションは止まってしまいます。

もしも会話が続かないときや、相手が自分の話していることを理解しているか不安になったときには、「提案がありますが、よいですか?」と切り口を変えてみたり、「気になったことがあれば遠慮なくどうぞ」とフィードバックを求めたりしましょう。

今日から始めるコミュニケーション能力を上げる1歩

日常的に簡単にできる、コミュニケーション能力を鍛えるのにつながる方法を紹介します。

●挨拶や感謝など、小さなコミュニケーションを積み上げる
毎日かかさず挨拶をする、少しのことでも必ず相談する、ありがとうを言うなど、常日頃から他人と小さなコミュニケーションを積み上げるようにしましょう。毎日少しずつでも人とコミュニケーションを取れば、コミュニケーション能力の向上や維持につながります。

●相手の方を向く
体も気持ちも相手へ向けて相手への関心を持てば、コミュニケーション能力が高まります。話をするときは相手の方へ体を向ける、顔を上げる、目を合わせる、うなずくなどを心がけましょう。

相手への関心が高まると、髪を切った、体調が悪そうなど相手の小さな変化にも気付きやすくなります。相手の小さな変化に気が付いたら、声をかければ相手の安心感や共感、こちらへの関心にもつながります。

●自分を抑える
コミュニケーション能力を鍛えるには、一歩引いて自分を抑えるのも有効です。相手の話が終わるまで待ってから話す、理論的に説明すべきときと、少し感情に訴えた方がよいときを見極めるなど、自分勝手なコミュニケーションを取らないように心がけましょう。

コミュニケーション能力は日常的にできる取り組みや工夫で鍛えられる能力でもあると分かりました。コミュニケーション能力が上がると、単に人間関係が円滑になるだけではありません。仕事のやりがいや楽しさ、自分の成果にもつながり、ビジネスチャンスも広がるでしょう。