進学や就職、結婚などにより生まれ育った実家をでるとき、新しい住まいとして賃貸物件を探すことがあると思います。これまで住居費というものを支払っていなかった人にとって、賃貸契約における初期費用など見当がつかないことが多いのではないでしょうか。

初期費用をしっかり把握していないと予算が足りなくなったり、その後の生活費まで足りなくなったりするなど、新生活のスタートでつまづいてしまうかもしれません。

そこで今回は、初期費用の費目や相場、できるだけ安い金額に抑えるためのポイントなどをご紹介します!

一般的な初期費用一覧

初期費用は「部屋を借りるとき、はじめに必要になるお金」のことです。主な初期費用には以下のような項目があります。

敷金

敷金とは、貸主が退去時のリスクを回避するため、借主から預かる金銭のことです。退去の際、通常の生活での汚れや劣化については元通りにする必要はありませんが、借主の過失や掃除の怠慢による傷や汚れについては、借主の負担で元に戻さなくてはならないことが多いです。敷金は、この原状回復にかかる費用をあらかじめ預けておくものです。

たとえば退去時に壁紙を張り替える場合、貸主は借主から預かった敷金を張り替え費用に充てます。もし預かった敷金より修繕費のほうが安い場合は、差し引いた金額が借主に返還されます。

また、敷金は原状回復費用だけでなく、家賃の滞納があった場合にも充当されることがあります。

礼金

礼金とは、賃貸物件の所有者である貸主に対して、お礼として支払うものです。近年は礼金なしの物件が増えていますが、退去時に返金されない点が敷金との大きな違いです。

前払い家賃

建物賃貸借契約において、基本的に家賃は前払いです。したがって、特別な取り決めがなければ、当月分だけでなく翌月分の家賃も先に支払うのが一般的です。

火災保険料

火災保険とは、火事をはじめとする災害などによる家財の損害や、建物消失時の貸主に対する法律上の債務、隣人に対する賠償責任等を補填するために加入するものです。ほとんどの賃貸物件で、加入が入居の条件となります。

鍵の交換費用

セキュリティの観点から、賃貸契約締結後に鍵を交換する物件が一般的です。鍵の交換費用は、国土交通省のガイドラインでは貸主負担が妥当だとありますが、実際は入居者の負担となることが多いようです。初期費用ではありませんが、鍵を紛失した場合などの交換費用についても借主の実費負担となります。

仲介手数料

物件を仲介した不動産会社に支払います。居住用物件の家賃・敷金・礼金に関して消費税はかかりませんが、仲介手数料は消費税の課税対象です。

賃貸保証会社利用時の保証料

賃貸保証会社を利用する際に保証料として必要となる費用で、原則として返戻されることはありません。近年、賃貸保証会社を通じた契約が必須となっている物件も多いようです。賃貸保証会社は保証契約により、借主による賃料滞納時には貸主へ代理で支払いますが、借主の返済が免除されるわけではなく、保証会社によって借主への取り立てがおこなわれます。このような物件の場合、保証会社の利用を拒否することは難しいかもしれません。

初期費用の相場はどのくらい?

ここまで初期費用の種類について説明してきましたが、ここからは費目ごとの相場を確認していきましょう。

敷金・礼金

0円から家賃の数か月分まで幅はありますが、それぞれ家賃1か月分が相場です。

当月分家賃+前払い家賃

入居月に、当月分家賃を支払うほか、翌月分の前払い家賃が必要となることがほとんどです。月途中で入居する場合は、当月分の家賃は日割り計算して支払うことが多いため、家賃の2か月分程度は予算として用意しておきましょう。

火災保険料

物件によって異なりますが、契約時に不動産会社で加入すると10,000~20,000円程が相場のようです。

仲介手数料

家賃の0.5か月分~1か月分+消費税が相場となります。法律で、仲介手数料を1か月分以上とることは認められていません。

賃貸保証会社利用時の保証料

家賃の0.5か月分が相場のようです。いちども滞納などがない場合でも、保証料は返金されません。

引っ越し費用・家財購入費用

引っ越し費用は荷物の量や新居までの距離に応じて変わりますので、事前に見積もりをとるといいでしょう。また新しく家財道具を揃える場合、購入費用がかかります。

初期費用を安く抑える3つのコツ

繁忙期を避け、賃貸契約の少ない時期を狙う

初期費用のうち、家賃や敷金・礼金を安く抑えるコツのひとつは、繁忙期を避けること。入学、就職前後の1〜3月は不動産会社にとっても、貸主にとっても繁忙期です。繁忙期に募集していたのに借り手がつかなかった物件、もしくは4月以降に解約された物件を狙い、4~6月にお部屋探しをすると、繁忙期に比べて家賃や敷金・礼金が下がるケースは珍しくありません。

敷金と礼金は影響大! できるだけ安く

最近は「敷金・礼金ゼロ」という物件も増えています。また、敷金・礼金をみるときにはポイントがあります。

以下の条件で2つの物件を検討しているとしましょう。

敷金2か月・礼金0か月
敷金0か月・礼金2か月

初期費用の合計としては同じ2か月分です。しかし、敷金は退去時に返還される可能性がありますので、長期的には「敷金2か月・礼金0か月」のほうが負担が軽くなるかもしれません。

家賃交渉にチャレンジ!

気に入った物件があるが、少し予算をオーバーしている場合は、物件によっては交渉してみる余地はあります。とくに空室となっている期間が長い物件は、家賃を減額してくれる可能性が比較的高いです。敷金などは家賃をベースとするため、家賃減額によって、初期費用も押さえられる可能性があります。

おわりに

一人暮らしをしたいけれど、初期費用がネックになって難しいという人も、具体的にどの程度の費用で実現できるのかを明らかにしてみましょう。敷金ゼロや礼金ゼロ物件、仲介手数料半額の不動産会社などを利用するなど、初期費用を抑えることで一人暮らしが実現するかもしれません。方法はさまざまですが、自分の住みたい地域の相場を知り、余裕を持って挑みたいですね。



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