『木枯し紋次郎』『新・極道の妻たち』などで知られる“日本映画界の巨匠”中島貞夫監督の20年ぶりとなる長編最新作『多十郎殉愛記』(2019年春公開予定)が14日、京都市内を中心に開催された「京都国際映画祭2018」(11~14日)でワールドプレミア上映され、舞台挨拶に中島監督、主演の高良健吾、共演の木村了が登壇した。

『多十郎殉愛記』中島貞夫監督、高良健吾、木村了

『多十郎殉愛記』舞台挨拶に登壇した高良健吾

同作は、「殺陣の魅力を存分に見てもらうこと」をコンセプトにした、中島監督の59年の経験を次世代に受け継ぐ“ちゃんばら時代劇”。舞台は幕末の京都。長州を脱藩した清川多十郎を主人公に、1本の刀に込めた「男の情念」や「殉愛」を描く。

主演の高良は、観客の拍手を受けて「感極まりそう…うれしいです。この映画を京都でお披露目できることがうれしいです」と目をうるませ、木村も「この作品が京都で初お披露目できたことに感動しています。お客さんのもとに羽ばたいていく瞬間に立ち会え、すごく素敵な時間を過ごさせていただいている」としみじみと語った。

中島監督は「京都は映画を作り続けてきた街。日本映画のふるさとです。その京都での国際映画祭…作品を発信しなければならないとだろうと。5年がかりでしたけどやっと発信できて、やったー! という気持ちでいっぱいです」と晴れやかな表情。「ちゃんばら映画を若い俳優さんでやりたかった。高良さんも木村さんも多部(未華子)さんも、みんな素直で熱心で。特に今回、ちゃんばらを勉強してもらいましたが、ここまでやってくれると思っていなかった。これからの京都の力になったという思い」と若手の成長を喜んだ。

また、高良は「中島貞夫監督の現場を踏めること自体が幸せなこと。踏みたくても踏める現場ではないので。しかも監督のオリジナル脚本で時代劇。これは運がいいとしか言いようがない」と語り、「個人的には30代最初の主演だったので、いつも以上に力が入ったと思う」とも。そして、「中島監督が残そうとしているものを現場のみんなで作っている1カ月は本当に幸せでした。プレッシャーや怖さもありますが、京都にいた1カ月半は幸せでしかたなかったので、多十郎ロスもすごかった」と打ち明け、「『京都のあの辺は住みやすいのかな』とかもやり始めて、家賃も調べ出して、不動産屋の前とか止まっちゃうんです」と京都での生活を考えたという。

  • 『多十郎殉愛記』中島貞夫監督、高良健吾、木村了

    左から中島貞夫監督、高良健吾、木村了

さらに高良は、「『時代劇は面白い』ということが伝わったらうれしい。個人的には月9で時代劇みたいなのも面白いと思うんですよね。それくらい時代劇にまた興味をもってもらえたらうれしい」と期待し、木村も「もう一度、時代劇ブームを。この映画をきっかけにそうなったらうれしい。僕たち世代が受け継いで次に託していきたい」と熱い思いを告白。2人の言葉に、中島監督は「泣ける言葉を言ってくれるね」と感激していた。

同映画祭は、「京都映画祭」の伝統と志を引き継ぎ、2014年より開催。映画からアート、伝統工芸、新しいメディアへ「つながり、ふれあう」映画祭として展開してきた。5回目となる今年は、「日本映画発祥の地・京都」で行う映画祭であることを再認識し、「ちゃんばら」「伝統工芸」などを通じて京都・日本の心を伝える。

  • 『多十郎殉愛記』中島貞夫監督、高良健吾、木村了
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