四季のある日本では、季節に合わせて衣替えをするのが一般的です。でも、その作業はちょっと面倒なもの。「一人分の洋服なんて、わざわざ衣替えしなくてもいいのでは」と思う人も多いかもしれません。そこで今回は、一人暮らしの衣替えについて必要かどうかも含めて、考えていきます。

衣替えって何のためにするの?

衣替えとは、気候に合わせて洋服を変えたり、またその洋服の収納を変える習慣です。制服のある学校や企業では、4月と10月に夏服と冬服を交換することが多いです(地域によって異なります)。

ただ、プライベートで着る洋服については、最近は季節を問わずに着られるファッションも多く、また気候もかなり変動しているため、衣替えのタイミングを見失いがちです。特に一人暮らしの場合は、それほど洋服の量も多くないため、一年中ずっと同じ収納にしまいっぱなしという人も多いかもしれません。

それで不便がないのであれば、面倒な衣替えなんてする必要はありません。ただし、衣替えは、要らない洋服を取捨選択して、収納を整理整頓たり、傷んだり汚れたりした洋服のお手入れをする良いタイミングにもなります。洋服の入れ替えという意味での衣替えはしなくとも、春と秋といった季節の変わり目にお手入れをしておくことは大切です。

季節の変わり目に行いたい洋服のお手入れ

「衣替えはしない」という人が注意してほしいのが「一度着ただけで目立った汚れもないから」と、その洋服を洗濯もせずに収納の中に入れっぱなしにしてしまうこと。衣替えをするのであれば、そのときに一度洗濯をしたり、クリーニング店に出したりしてから収納することが多いですが、衣替えなしだと、そのまま忘れてしまいがち。数か月経ってから洋服を出してみたら、最初は目立たなかったはずのシミや汚れに気づくことがあります。

しかも、長く時間が経ってしまったシミや汚れはクリーニング店でも落とせないことも。季節の変わり目にはシミや汚れ、ほつれやボタンの取れなど、一度洋服の総点検をしましょう。

なお、クリーニング店から戻ってきた洋服にビニールのカバーがかけられている場合、外したあと、陰干しし、完全に乾かしてから収納にしまいます。クリーニングの薬剤や湿気が残っていることがあり、それがシミやカビなどの原因になることもあるので、注意しましょう。

また、総点検のタイミングで、洋服の取捨選択もしておきましょう。冠婚葬祭等を除き、2シーズン着ていなかった洋服はこの先着る機会はまずないでしょう。思い切って処分し、収納のスペースを空けましょう。ギュウギュウ詰めの収納は着たい洋服がすぐに見つからないだけでなく、しわや傷みの原因にもなります。

衣替えなしでも快適に過ごすための収納術

いくら一年中着回せる洋服が増えたとはいえ、ウールのセーターを夏には着ないでしょうし、生地の薄い透け感のあるワンピースも冬には着ないことが多いです。衣替えはしなくとも、ざっくりと「夏にしか着ない服」「冬にしか着ない服」に分けて、それぞれをボックスに入れます。そこに分けきれなかった洋服を「夏冬共用服」として、もう一箱に入れましょう。

どちらの季節でも使う洋服をひとまとめにしておくことで、日々の洋服を選ぶのも、季節の変わり目のタイミングで洋服を総点検するのもラクになります。

また、収納に入りきらないくらい洋服を持つファッション好きな方は、クリーニング店やトランクルームなどで行う洋服の保管サービスを利用するのもおすすめ。クリーニング店のサービスによっては、洗濯をお願いしたついでに翌シーズンまで預かってもらえて、便利です。

暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー:河野真希
ウェブや雑誌など各種メディアで、料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを目指すライフスタイルを提案。著書に『ひとり暮らしの季節ごよみ』(祥伝社)、監修本に『家事のお手本-大人のたしなみ賢いくらし』(泉書房)『頑張らなくても素敵に暮らせる「夜だけ家事」で快適シンプル生活』(双葉社)などがある。
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