――伊藤さんと魁利とでは、どんなところに共通点を感じるでしょうか。

初めのころは「共通点あります」となんとなく答えていましたが、最近になると少し考え方が変わってきました。というのも、役からもらう影響って多いんだなと思うようになったんです。まだ俳優としては新人なのですが、「この仕事で食べていくんだぞ」という"覚悟"みたいなものを魁利からもらった気がします。魁利はひとつ芯が通っていて、目的に対しては命がけで挑むというキャラクター。僕もこの仕事をするにあたっては芯をしっかり持って、何事にも誠意を尽くして取り組もうと思うようになりました。

――スーパー戦隊を演じることで、ご家族やお友だちからはどんなリアクションがありましたか?

家族は僕のやっていることであまり直接言ってきたりはしないんですよ。でも関心がないのかなと思っていたらそうではなくて、毎週『ルパパト』を録画していたり。だから、直接は言わないけれど愛はあるのかなって(笑)。友だちは、ヒーローが身近にいて凄いよね、とか言ってくれますけれど、僕は友だちに対して今までと変わることがないので、普段どおりに「ありがとう!」と言っています。

――魁利を演じていて、これまでで特に印象深い出来事、影響を受けた出来事があれば教えてください。

今度の映画もそうですけれど、やはり魁利がメインとなる回を撮影したときのことが強く印象に残っています。魁利の心にグサリと来るような話が来ると、そこでいろいろな転機がありますから。そういう回の台本には、魁利の役作りに必要な情報がいろいろと書いてあり、そこから影響を受けることが多いんです。時折触れられる魁利の兄についてのことであったり、警察戦隊との"重い"ストーリーでの絡みがあったりすると、それだけ自分の役を深いものにしていくことができるので、そこは大切にしている部分です。

――魁利は熱い感情を秘めていても表面上はクールに振る舞うのが特徴であり、魅力だと思いますが、伊藤さんにもそんなクールな部分はありますか?

あるかもしれないですね。内面ではいろいろな感情がうごめいているのに、それを表情や態度にして出さないというか、出せないタイプなんです。そういうところは魁利とつながる部分があるのかな。まあ、僕は魁利のようにチャラくはないですけれど(笑)。

――魁利とは対照的に、怒りの感情などをストレートに表すのはパトレン1号/朝加圭一郎のほうですよね。圭一郎を演じている結木滉星さんご自身は圭一郎とイコールというわけではないですか?

圭一郎と比べて、滉星くんはひょうひょうとしたタイプですよね~。

――すでに魁利のキャラクターを完全につかんで、自分のものにされている伊藤さんですが、演じていて「ここが難しい」という部分があったりしますでしょうか。

魁利は、心の中に辛い部分を持っていても、決して表面上に出さない性格です。そのため、内面でグルグルと回すけれども感情としては表さない……という部分を、画面を観ている人に伝わるよう演じるのが難しいですね。自分の中でそう思っているだけだったら、外からはただ普通に生活しているだけに見えてしまいますから。魁利の、そんな内面を画面上から伝えていくのが僕の仕事なので、微妙な感情の動きをどのように演技で見せていくか、常に大変なことだと思って取り組んでいます。