『クウガ』から『キバ』まで、まったく異なる基本設定、世界観が特徴の「平成仮面ライダー」シリーズを、「並行宇宙」「パラレルワールド」というタームを用いてひとつにつなげてしまおうという、大胆な発想で企画されたのが『ディケイド』である。「クウガの世界」から「キバの世界」まで9つの世界を旅する門矢士は、それぞれの世界でライダーたちと関わることにより、失われた「他のライダーに変身(カメンライド)できる能力」を取り戻していく。

それぞれの世界のライダーは「リ・イマジネーション」として、異なる俳優によってキャラクターが演じられる場合があり、オリジナルとは一味違う楽しさを備えていた。また、9つの世界の旅が終わったあとは、「RXの世界」「BLACKの世界」「アマゾンの世界」など、昭和ライダーの世界にも足を延ばすなど、全31話と従来より短い放送期間ながら、予測不可能で盛りだくさんなドラマ展開で好評を博した。

10作目の『ディケイド』でひとつの区切りをつけた「平成仮面ライダー」シリーズは、『仮面ライダーW(ダブル)』(2009年~2010年)から秋の放送開始となり、それまで放送開始時期が近接していたスーパー戦隊シリーズとの"棲み分け"をより強めた。このような事情もあって、『W』からは「平成第2期」と呼んでそれまでと区別する場合もある。

『W』では「ふたりでひとりの仮面ライダー」という斬新な設定と「"風都"を守る探偵ライダー」というスタイリッシュな世界観が作られ、その細部にまで作りこまれたストーリー展開とキャラクターへの熱きこだわり描写の数々によって、熱烈なファンを多く獲得している。

人間の欲望を狙うグリードと戦うメダルの戦士『仮面ライダー000(オーズ)』(2010年~2011年)、学園の平和を乱すゾディアーツと戦う宇宙飛行士ライダー『仮面ライダーフォーゼ』(2011年~2012年)、怪物ファントムに絶望を強いられる者の"最後の希望"となる魔法使いライダー『仮面ライダーウィザード』(2012年~2013年)、「フルーツ」をモチーフとしたアーマードライダーが人類絶滅を防ぐため激しく争うライダー戦国絵巻『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(2013年~2014年)、史上初の「四輪車(のみ)に乗るライダー」が人工生命体ロイミュードと戦う『仮面ライダードライブ』(2014年~2015年)、異世界の怪人「眼魔」に命を奪われて幽体となった天空寺タケルが、ふたたび生き返るため英雄の「眼魂」を集める『仮面ライダーゴースト』(2015年~2016年)と、それぞれのシリーズには明確なテーマと、戦うべき「敵」のユニークな設定が作りこまれている。

そのほか、『オーズ』ではオーメダル、『フォーゼ』ではアストロスイッチ、『ウィザード』ではウィザードリングなど、平成第2期シリーズにおいては変身ベルトと連動して楽しめる「コレクションアイテム」が多数リリースされることが多く、いずれも非常に高い人気を獲得しているのにも注目しておきたい。