時にはちょっとできないふりも?

――逆に、長谷川さんが「自分、かっこいいな」と思うような時はどういう時ですか?

時間に対して、すごく貧乏性なんです。基本は17時に娘を迎えに行くのですが、その前にスーパーに行って、帰ったらすぐごはん作って……と、寝るまで自分の時間がない。だから、朝から16時くらいまでの時間は分刻みでスケジュールを作ります。買い物に行くなら駐車場の場所から目的地への分数まで考えて、計画がうまくいくかドキドキするんですけど、ピッタリ用事を成し遂げたときには、「私、すごいな」と思います(笑)。

――なかなかできないと思います。

計画をたてるのが、好きなんです。「明日は休みだ」となったら、WEBで観たい映画をいくつかチェックして、さらにジムの時間を合わせて、用意を考えて前後30分、そこから移動して上映開始までの10分にこの店で買い物を……と逆算しながらスケジュールを立てていきます。

――そんな隙間の10分すらも……!

無駄にしません。

――そういう計画を立てて遂行できるということは、本当に「仕事ができる」という感じですよね。

まだまだ上には上がいて、私なんか、甘い方です。ただ、できすぎちゃうと、周りの人が育たないから(笑)。時にはちょっとできないフリで、周りにお願いすることも必要なのかなと思います。

「お母さん」役もやっていきたい

――今回の作品ではいろいろな転機が訪れると思うんですが、長谷川さんご自身で、仕事の中で転機になったできごとはなんですか?

やっぱり、モデルからテレビの仕事に入ってきたときですね。芸能の仕事をやろうと、自分で今の事務所の門を叩いて芸能界に入って……激動でした。

――そこまで違うものなんですね。

女性目線の雑誌とはもう、全然求められているものが違いました。最初は格闘技の番組というコアなところでしたし、芸能界のしきたりも良くわからなかったし。でも、ドラマや映画に出たいと、自分で望んだことだったので、頑張って前に進むしかありませんでした。

――少しずつ自分のやりたい事を叶えてきたんですか?

若いときはなかなか自分の意見が通らないから、何が今につながってきたのか、自分ではわからないですが、結果、やりたいことができているのは嬉しいです。

――『ラストチャンス』は、どういう位置づけになりそうでしょうか?

私、まだあまり「お母さん」に見られないんです。そういうイメージがついていないみたい(笑)。でも、これからどんどんお母さん役もやっていきたいと思っています。けっこうしっかり「お母さん」をやっているつもりなんですけど、外にあまりにじみ出ないみたいで。だからこの作品を通して、お母さんのイメージがつくと嬉しいです。

――撮影では家庭のシーンが多かったと思いますが、作品全体の見どころや、長谷川さんが楽しみにされているところをぜひ教えてください。

私の撮影は家庭のシーンが多かったので、後半でやっと働いているときの樫村を見たんですけど、台本の印象よりも演技のテンションが高くて驚いたんです。出演者の皆さんがいかに台本を立体的にして作り上げてくださっているかがよくわかって、私自身も楽しみにしているところです。本当にいろいろな俳優さんが出られていて、皆さんが個性を出されて、まとめるのが大変そう(笑)。絶対に観応えはあると思うので、ぜひ期待していただきたいです。

■長谷川京子
1978年7月22日生まれ、千葉県出身。女性ファッション誌の専属モデルとして活動を始め、2001年に女優デビュー。2006年、『おいしいプロポーズ』で連ドラ初主演。2008年には河瀬直美監督映画『七夜待』で主演を務めた。 以降も数々のドラマ、映画、CMに出演。 雑誌「LEE」(集英社)では、2児の母として食をテーマにしたエッセイ連載『おいしい歳時記』が大好評連載中。
ヘアメイク:佐々木貞江、スタイリング:長澤実香、衣装協力:エトロ(ブラウス¥155,000 スカート¥183,000 )