――最高血圧および最低血圧のどちらも、今後は注意深く見ていきたいです。それと今回は問題なかったのですが、30代ともなってくるとコレステロール値も気になってきます。コレステロールには「善玉」と「悪玉」があると聞いたのですが……
一昔前は、単純にコレステロール値が高ければ動脈硬化が進行し、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)や脳梗塞の原因となると言われていました。しかし、近年はコレステロールには良いもの(善玉)と悪いもの(悪玉)があると言われており、この考え方も周知の事実となってきております。
私たちが健康診断でよく目にするコレステロールは2つですよね。一つが悪玉コレステロール(LDL)と言われるものですが、なぜ悪玉なのかと言えば、血管の内側の壁にへばりつき動脈硬化を進めるからです。逆に善玉コレステロール(HDL)は、動脈硬化を治したり予防したりする効果があるため善玉と呼ばれています。HDLは運動で増えると考えられており、LDLは卵や肉類などに多く含まれているため、過剰摂取は控えましょう。
また、これらの数値も大切ですが、LDL/HDLの比が2以下であることが大切と言われています。悪玉コレステロール(LDL)が低くても、善玉コレステロール(HDL)が低ければ動脈硬化が進みます。2つの比を見ることで自分が内服治療になるかどうかのリスクがわかるのです。
――ちなみに自分は1.5ぐらいで許容範囲内でした。今後はLDLのみの値に一喜一憂せず、2つのコレステロールのバランスに着目していきたいです。最後にあらためて、健康診断結果の有効活用方法を教えてください
健康診断の結果は、全く問題がない場合でも保存しておくことをお勧めします。なぜなら、次の健康診断時に比較ができるからです。健康診断は毎年の推移を見る作業がとても大事となり、比較することで自分の弱点を把握できます。もしもたくさん保管しておくことが大変なのであれば、最低1年は保存してみてください。
取材協力: 大川原華織(オオカワラ・カオリ)
内科医。En女医会所属。
En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。