22年続いた『めちゃ×2イケてるッ!』の後を受け、フジテレビの看板枠“土8”でこの春スタートした『世界!極タウンに住んでみる』(毎週土曜19:57~)。同じ週末の20時台で放送されていることもあって、先行する『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)と何かと比較されがちだが、本当に単純な類似番組なのか。きょう7日(19:00~21:00)に放送される「2時間SP」を事前に視聴して、検証してみた。

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    (左から)東野幸治、藤田ニコル、堀田茜、恵俊彰=7月7日放送の2時間SPより

世界にある“極端な町”に“移住人”のディレクターが実際に住むことで、知られざる魅力を発見していく同番組。今回移住するのは、中国の断崖絶壁の村、イギリスの100%幽霊が出る家という2本立てだ。

まずは、断崖絶壁の村。移住人は、早速目的地に向かうバスの乗り込むも、乗客の1人が前料金を支払わないまま名乗り出ないため、徴収係の女性が怒って出発させないというハプニングに見舞われてしまう。この一悶着を丁寧に映し出すのに加え、その後には別のバスに乗り換える場面も見せていく。

一方、イギリスロケでは、ロンドンでビッグベンやアビイ・ロードと観光地に寄り道する移住人の様子を紹介。さらに、電車の乗り場の確認方法や車中での会話まで、懇切丁寧に紹介していった。

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    中国の断崖絶壁の村

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    イギリスの100%幽霊が出る家

以前、『イッテQ』の演出を手がける日本テレビの古立善之氏を取材した際、「段取りの部分を編集で捨てることで、スピード感を持たせることを意識している」と話していた。たしかに、『イッテQ』は、芸能人が異国の地で体を張る姿が見どころ。その部分に特化したVTRは、笑いの要素が凝縮され、番組の人気につながっている。

これに対して、実は『極タウン』は、旅の情報がきちんと盛り込まれた番組。バスを何度も乗り継ぐことで、いかに目的地への道のりが遠いかという距離感がつかめるし、異国での電車の乗り方を学ぶことができる。さらに、VTR中には逐一、その地の人口や標高、物価など、細かい情報がテロップで表示されていく。

さまざまな情報を伝える手段として、『極タウン』で印象的なのが、『サンデーモーニング』を彷彿(ほうふつ)とさせるスタッフの手書きによる解説画面や、日誌風のテロップ。CGを使わず、ナレーションも移住人自身が淡々と読み上げることで、“アナログ感”を演出し、オリジナリティを出している。この点も、「お祭り男」のルール説明などでCGを活用し、立木文彦氏のセンセーショナルなナレーションで盛り上げる『イッテQ』とは対照的だ。

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そして、両番組の最も分かりやすい違いは、ロケ出演者のメインがスタッフか、芸能人かという部分だろう。スタッフが旅する姿を追う『極タウン』は、撮影の仕方を打ち合わせする場面もそのまま映し出され、ロケの裏側がそのまま放送されるのも特徴的だ。

断崖絶壁の撮影シーンで「そこで撮れればいいけど」「こっち超撮れますよ」なんて会話が飛び交ったり、幽霊の出る部屋で先輩ディレクターが驚き叫ぶ後輩に「うるさいよお前!」と叱ったりする場面が流れる番組は、そうそう見られず、妙なリアル感が伝わってくる。MCの東野幸治はそんなシーンが大好物のようで、立ち上がって腹を抱えながら爆笑していた。

もちろん、世界を股にかける番組だけあって、スケール感も十分。映画『AVATAR(アバター)』のモデルになったと言われる断崖絶壁の村で、200メートルを超える崖が3,000本以上もそびえ立つ景色をドローンで撮影した壮大な映像は、まさに圧巻だ。「どうせ似たような番組だから…」と『極タウン』をスルーしていた視聴者がいるとすれば、そんな固定観念を捨てて見ることをオススメしたい。

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(C)フジテレビ