働き方改革といわれると、真っ先に思いつくであろう「残業」問題。多くの会社員が同じ悩みとして、残業をなくしたいと考えているのではないだろうか。残業が発生する理由としては、「業務が定時内に終わらない」「職場の雰囲気から定時退社できない」など多くの要因が存在するだろう。

今回は、マイナビニュース読者1000人に「働き方」について尋ねたアンケート内容を踏まえながら、特定社会保険労務士で、TOKYO働き方改革支援事業コンサルタントでもある、米澤さんに残業問題の考え方、解決策を紹介してもらった。

  • 残業が多くて悩んでませんか?

全体の6割が働き方改善を希望

Q. 自分の働き方で改善したいと思うことはありますか?

はい 62.8%
いいえ 37.2%

Q.「はい」とお答えした方にお聞きします。どのようなことを改善したいですか?

・「周囲の人に合わせた残業が多い」(26歳女性/神奈川県/事務・企画・経営関連)
・「ダラダラと残業するのをやめたい」(45歳男性/京都府/販売・サービス関連)
・「定時退社ができる雰囲気作り」(54歳男性/大阪府/事務・企画・経営関連)
・「明日できる事は明日やる」(56歳男性/埼玉県/販売・サービス関連)

全体の6割強の方が、働き方を見直したいと考えている。特に、残業を改善したいと考えている方のコメントが多い印象だ。また、米澤さんへ「残業問題」でコンサルティング依頼が入った際の、相談内容も紹介しておく。

・お客様がいる限り帰れない
・上司や先輩が帰らないと帰りづらい
・夕方以降に打合せが入る
・今日中にやっておかないと明日がこわい
・家に帰ってもすることがない
・残業代が減る

残業は生活習慣病と同じ?

米澤さんは「残業は働き方習慣病であり、メタボと一緒で体質改善が必要なので、一定期間をかけて治療する必要があります」と解説する。また長時間労働は社会問題化し、多くの企業の経営課題になっているので、治療するには良いタイミングだという。

「残業が発生する病因は、経営者・上司サイド、社員サイド双方にあります」

解消策の基本方針は、以下の三つになるという。

1.何のために解消するか(目的の共有)
2.いつまでに月何時間まで落とすか(目標の決定)
3.月単位、組織単位、個人単位で「測る」(PDCAサイクルの構築)

基本方針を策定したら、時間を減らす具体的な打ち手(対策)を講じていく。この際、キーパーソンは、トップ、人事部門と組織長だそう。ちなみに、残業撲滅に成功している会社はすべて、トップの強い決意表明が最初にあるとのこと。

このあと、対策期間中は3の数値を見える化し、月単位で「数値公表→従業員面談→大小の打ち手(対策)の実施」サイクルを、12か月しつこく繰り返すことが求められる。

このPDCAの結果、組織、工程、社員と原因の領域が小さく絞られ、体制や業務プロセス(BPR)の課題も見えてくるそうだ。

「活動をスタートして、6か月経つころには、8割の企業が目標の80%まで到達しているでしょう」と米澤さんはエールを送る。

調査時期: 2018年6月11日~
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性731名 女性269名 計1000名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

監修者プロフィール : 米澤 実(よねざわ みのる)

千葉県船橋市出身。株式会社リクルート(現リクルート・ホールディングス)でクリエイティブディレクター、ライン組織マネジメント、グループ企業の人事部長を経て、2010年独立。現在は「元気で強い成長企業の実現を支援する人事労務コンサルタント」として活動している。