――テレビシリーズでは、最終回の1話前(第49話)で真司が命を落としてしまう展開となり、かなりの衝撃を受けました。
須賀:あれには、僕らもかなりビックリしました。
松田:あれも台本をロケバスの中で読んでいて、「真司がハチに刺されて死んだ!」って驚きましたから……。
須賀:龍騎が死んじゃったら、番組のタイトル変わっちゃうじゃないか!って思ったなあ(笑)。
松田:プロデューサーの武部(直美)さんも、あの台本が来て戸惑っていたからね。僕らが「これって、何かの冗談ですか?」って聞いても、ぜんぜん具体的な説明をしてくれなかった(笑)。
須賀:正直「真司が死ぬ」という結末はこれっぽっちも想像しなかったなあ。
松田:誰が最後のライダーになり、願いを叶えるのか……というのは、キャストの中でもよく話題にしていたね。
須賀:そういう話をみんなでしていた気がするね。「誰が最後まで生き残るのかな」って。結末はどこに行くのか……誰一人、当たりませんでした。
――最終回では、それまで何度も繰り返されてきたライダー同士の戦いが完全にリセットされ、真司たちがライダーに変身しない時間軸を生きるというエピローグが描かれました。そこで真司と蓮が喫茶店「花鶏」の前で対面し、しばし見つめ合うシーンは、不思議な余韻を感じさせてひときわ心に残ります。
須賀:あのシーンもよかったね。真司は蓮と一緒に戦ったことを覚えているわけがないのに、DNAの底で覚えているのかも、みたいな感じでした。
松田:あのとき、石田(秀範)監督から言われたのは「蓮は覚えているつもりで演じてくれ」ってことだった。
須賀:へえ~。
松田:まともに「俺は覚えているぞ」という意志を出さなくていいから、心に秘めておいてほしいって。だから、あそこで真司に出会ったとき「おっ」と思いはしたけれども、ことさら声をかけないという、微妙な空気感を出すように心がけました。
須賀:あのラストでは、死んだはずの手塚や浅倉も生きていて、ホッとするところがありますね。
松田:『龍騎』の物語はどう進めても悲劇にしかならないですから、テレビシリーズの最終回で少し「救い」を持たせる終わり方になってて、そこがよかったですね。
――現在、松田さんはご結婚されて1児の父とうかがいましたが、ゆくゆくはお子さんとご一緒に『龍騎』の玩具で遊ぶ、なんてこともあり得るのではないですか。
松田:いま息子は生後7か月くらいなので、まだテレビを観るタイミングではないのですが、将来的には一緒に『龍騎』を観たり、玩具で遊んだりしたいところですね。
須賀:子どもといえば、放送当時は津田(寛治/大久保大介役)さんのお子さんがちょうど『龍騎』を観ているドンピシャの世代だったんですよね。
松田:絶妙なタイミングで、お子さんも喜んでいたんじゃないかな。中盤に出てきたオルタナティブ=香川教授役の神保(悟志)さんも当時、「仮面ライダーに出ると子どもが喜ぶんだよ」なんて話していたのを覚えています。
須賀:神保さんも津田さんも、当時から雰囲気がぜんぜん変わらず、ご活躍されているのがすごいですね。