――仮面ライダーといえばバイクですが、『龍騎』において、お2人のバイクがらみのエピソードはありますか。
松田:真司は(HONDA)ズーマーに乗ってましたよね。当時流行ってたんですよ。
須賀:まさか仮面ライダーがふだん原チャリに乗ってるなんて、と思いましたけどね(笑)。
松田:僕はあのころ免許を持っていなかったし、中型バイクは危ないということで、劇中では全てバイクスタントさんが運転しています。僕の顔が映るアップカットでは、バイクを車で牽引してもらって撮っていたんです。
須賀:僕は牽引じゃなくて、けっこう乗っているシーンがありますね。日比谷通りをあのバイクで思いっきり走って、前から撮られたりしていたこともあった。けっこう無茶をするなあというか、攻めるなって思いました。
松田:僕がバイクシーンで事故ったとき、真っ先に助けに来てくれたのが須賀っちでした。
須賀:そうだっけ?
松田:牽引でバイクに乗ってて、さいたまスーパーアリーナのまわりを走っていたとき。
須賀:ああ、覚えてる!
松田:牽引車のドライバーさんが、僕がバイクを降りて別の車輛に乗り換えたと勘違いして、完全に後ろのバイクのことを忘れてブワーッとスピードを出し始めたんです。僕はまだバイクに乗ったままで引っ張られていますから、「ええっ、このスピードでカーブに入るのか!?」と思ってね。そのままバイクごと地面に接触して、反対車線に停まっていた車の下のほうまではじき飛ばされてしまったんです。うわ、どうしよう、と思っていたら、須賀っちが助けに来てくれたんです。
須賀:そんなことあったねえ。僕はそのとき、後ろをバイクで走ってたんだ。
松田:助けてくれたとき「大丈夫?」って言いながら、めっちゃ笑ってたけどね(笑)。
須賀:たぶんその様子が面白かったんだと思うよ。きっと(笑)。
松田:革のロングコートに手袋もしていたから、ぜんぜんケガとかはなかったんですけれど。
――真司、蓮とトリオを組んで活躍していました、優衣役の杉山彩乃さんの印象はいかがでしたか。
松田:真面目な人っていう印象があり、それは今でも変わりないですね。
須賀:当時は高校生で、制服姿で現場に来ていたんですよね。
松田:一回、優衣が号泣するシーンの撮影があったんですが、終わってもそのまま号泣しっぱなしになって。
須賀:感情が抑えられなくなっちゃったんだ。
松田:泣きすぎて、撮影が一時中断したことがあった。だから、真面目だなあ、純粋だなあって思いが強いんです。
――1年間におよぶ『龍騎』のストーリーは、いつ、どのライダーが倒されてしまうか、そしてどのタイミングで新たなライダーが登場するか、先の展開が読みづらいスリリングな展開でファンの興味を引き続けました。演じられている方から観た『龍騎』のストーリーについての感想を聞かせてください。
松田:制作している側も、ぜんぜん先を読んでませんでしたからね。白倉プロデューサーでさえ、今後の展開について尋ねると「今(台本を)作っているから待って」と言っていましたから。
須賀:毎回の台本が来ると「こんどはどんなストーリーになるのか」って、みんなで読むのが楽しみだった。
松田:僕は、車酔いするから自動車の中で本は読めなかったんです。
須賀:そうだったっけ。
松田:でも『龍騎』のときは、ロケバスの中で台本を覚えないとスケジュール的に間に合わないから、結局、酔いを克服しました(笑)。
須賀:いい話だな~。
松田:改めて言いますけれど、あの1年間、スケジュールは本当にキツかったんです。僕、撮影が始まったころは自動車免許の教習を受けている最中だったんですけど、結局ぜんぜん教習に行けなくて、辞退しましたから。
須賀:まあ、無理だよね~。ほんと、撮影の間はどこにも遊びに行けないんで、撮影所の近くにあるゲームセンターによく行っていました。
松田:ああ、行ってたなあ! よく声もかけてもらいました。「真司と蓮だ!」って(笑)。