京王ライナーへの乗車は1両2カ所に限られる。ホームドアも対応する位置のみ開く

一方、土曜日の夕方、18時発の京王八王子行きにも試乗してみると、客層の違いが明らかであった。ホームでの整列位置を探して右往左往する客や、「これに乗るにはどうすればいいのか?」と車掌に尋ねる客もいる。発車直前には「座席指定券がないと乗車できない」旨の放送も流れ、土休日の利用客には「一見」が多いことがうかがえる。その一方で、あまり目立たない位置にある電源コンセントへ、まったく迷うことなくスマートフォンの充電コードを差し込む若い女性もいる。

橋本行きは、停車駅が多摩ニュータウン内の駅と終点に限られるため、京王多摩センターなどで利用客が一斉に降りる様子が見られるが、京王八王子行きは府中から終点まで停車駅が分散している。見ていると、いちばん下車客が多かったのが聖蹟桜ヶ丘。続いては、高尾線に接続する北野だった。

京王八王子まで乗った客は、途中駅からの乗車も含めて、1両10人ほど。これからは、並行して走り混雑が激しいJR中央線から、どれだけ利用客を京王ライナーへ誘えるかが、焦点となるだろう。

今後の展開に期待

京王ライナーは平日、深夜の時間帯まで運転されていることもアピールポイント

京王ライナーの需要の大きさを見ていると、インバウンド客にも人気が高い、高尾山方面への座席指定制列車の設定も、今後は期待できるのではないか。土休日朝の高尾山口行きは、かなりの混雑になるからだ。

シートがリクライニングしないといった、居住性の難点は、景色が見えない夜間の、30分前後の乗車なら特に気にはならない。ただ、車両自体が片側4ヶ所に扉がある通勤兼用型だけに、乗降扉部分の立席スペースが無駄にも思えてくる。JRの在来線特急だと、トイレ・洗面所が車内にあっても、1両あたりの座席は60席以上あるのがふつうだ。それに対し京王ライナーは40席強。需要の大きさに対して、効率の面からもったいないという気もする。

京王電鉄がどう需要を把握、喚起し、展開を図っていくか。まだまだ注目していきたい。