メルセデス・ベンツ日本は6月6日、新型「Gクラス」を発表し、同日より受注を開始した。

  • 発表会の場には、ダイムラーにて商品企画責任者を務めるミヒャエル・ベルンハルト氏(左)と、メルセデス・ベンツ日本・代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏(右)も登壇

誕生以来継承してきた伝統を大幅に刷新

メルセデス・ベンツ「Gクラス」は、1979年に最高級クロスカントリービークルとして誕生して以来、基本的なスタイリングや堅牢なボディはそのままに、常に最新のパワートレイン、装備を加えながら進化を続けてきた。今回のアップデートは、40年にわたるGクラスの長い歴史の中で最も大幅な改良が施されているという。

  • ラインナップは「メルセデス AMG G 63」(左)と「G 550」(右)の2モデル

新型Gクラスは、テールゲート外側のスペアタイヤやフロントフェンダー上に突出したウインカー、外部に設けたドアヒンジなど、オフローダーとしての個性を主張するデザインや装備をおなじみのスクエアフォルムに搭載し、従来のデザインを踏襲している。

  • エクステリアの大きな特徴となるフラットなウィンドウは、リアを除いて全て微細な曲面を描いており、エアロダイナミクスを向上しているとのこと

今回の改良では、新デザインのフロントラジエーターグリルやフロントバンパー、丸形のLEDヘッドライト/LEDリアコンビネーションランプを採用。一見してGクラスとわかる意匠ながらも、新しさを感じさせるビジュアルに仕上がっている。

  • 夜間の安全なドライブをサポートするマルチビームLEDヘッドライト。片側84個のハイパフォーマンスLEDを瞬時に制御し、より広い範囲を明るく正確に照射し続けてくれる

ボディサイズは、従来モデルと比べると全長が53mm拡大の4,817mm、全幅が64mm拡大の1,931mmとなっており、従来モデル以上の強い存在感を放つ体格を持ち合わせている。

  • 車体寸法は、全長4,817×全幅1,931×全高1,969mm

オン&オフロードの走行性能をさらに向上

誕生以来継承している、オフロード走行に適したラダーフレームも新設計。悪路走行時に求められる強度、剛性、安全性を高めている。専用のサスペンションも新たに開発し、フロントのディファレンシャルギアに対して270mmの地上高を確保。オフロード性能をより一層アップした。また、ボディパーツごとに最適な素材を採用し、全体で約170kgの軽量化も達成したという。

  • ミヒャエル・ベルンハルト氏の解説とともにオフロード走破性の高さを証明

この日は、デモンストレーションとして、同車両が最大傾斜角45°の坂道を登る様子や、大きなコブのように盛り上がったコースを走行するシーンも披露。安定傾斜角度35°(従来比+7°)やアプローチアングル31°(従来比+1°)、デパーチャーアングル30°(従来比+1°)といったデータからもうかがえる性能の高さを、実際のパフォーマンスで示してみせた。

メルセデス・ベンツのイベント型ブランド体験施設「Mercedes me NEXTDOOR」(東京・六本木)では、6月7~24日の期間限定で、本格的なオフロード体験イベント「G-Class Experience」が開催され、これらのアトラクションを実際に味わうこともできる。

  • センターコンソールには、ドライバーが求める様々なセッティングが選べるダイナミックセレクトなどをレイアウト

同車両は、ダイナミックセレクトによって、瞬時に5つのドライブモードを切り替えることもできる。エンジンやトランスミッション、サスペンション、ステアリング、運転支援システムの特性により、「コンフォート」「スポーツ」「エコ」「インディビジュアル」と、今回新たに追加された「Gモード」が選択可能に。

ステアリングも、従来のボール&ナット型式から電動機械式ラック&ピニオン式のステアリングへ変更。選択したドライブモードに対応して、「コンフォート」「スポーツ」「オフロード」3セットのステアリング特性を切り替えることができる。

  • 「メルセデス AMG G 63」には、AMG 4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン「M177」を採り入れた

「G 550」には、4.0リッターV8気筒直噴ツインターボエンジンをベースに開発された「M176」型エンジンを搭載している。同エンジンは、最高出力422PS/310kW、最大トルク610Nmを発揮する。また、今回の改良では気筒休止システムも採用。燃費効率アップに寄与している。

「メルセデス AMG G 63」には、最高出力585PS/430kW(従来型比+14PS/+10kW)、最大トルク850Nm(先代比+90Nm)を発揮する、AMG 4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン「M177」を搭載。オフローダーとしてのGクラスに、AMGのモータースポーツで培ったテクノロジーを組み合わせたトップパフォーマンスモデルに仕上がっている。

モダニティを極めたインテリア

室内空間においても、独自の快適性を磨き上げてきたGクラスの伝統をさらに進化させている。厳選されたレザーや上質なウッドトリム、随所に施されたシルバー加飾など、ラグジュアリーな個性を強調した心躍るデザインが広がる。

  • 円形ヘッドライトをイメージしたエアアウトレットなど、アイコニックなエクステリアパーツをモチーフに仕上げられたインテリア

  • 前後スライド、シート高さと角度、バックレスト角度、ヘッドレストの高さを電動で調整可能。メモリー機能付きで、好みのポジションを簡単にセットできる(前席のみ)

  • 大型化に伴い、前席のエルボールームは+68mm、後席レッグルームは+150mmなど、室内各部のサイズも拡張した

先進の安全運転支援システムも搭載し、安全性、快適性、利便性も大幅にアップグレード。車間距離を適切に維持し、渋滞追従機能も備えた「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」や、ドアミラーの死角範囲をレーダーによってモニターする「ブラインドスポットアシスト」、衝突回避をサポートする「アクティブブレーキアシスト(歩行者検知機能付)」などを含めた「レーダーセーフティパッケージ」を標準装備している。

大型化したGクラスの利便性を向上する装備として、車両周囲の状況をモニターする「360°カメラシステム」、自動操舵・ブレーキ機能により縦列駐車と車庫入れをアシストする「アクティブパーキングアシスト」も標準装備とした。

価格は、「G 550」が税込1562万円、「メルセデス AMG G 63」が税込2035万円。「G 550」は左ハンドルのみとなる。今回の改良はフルモデルチェンジと言って差し支えないインパクトがあったが、ユーザーの多様な要望に応えるべく、従来型のGクラスも継続して販売していくという。