ベトジェットエア(本社: ベトナム・ハノイ)は5月31日、関空=ハノイ線を11月8日より就航することを発表した。「日本市場参入は早い段階から計画していた」とグエン・ティ・トゥイ・ビン副社長が話す通り、同路線を皮切りにして日本路線を拡充し、現在も新機材であるエアバスA321neoでの羽田=ホーチミン線就航に向け、交渉を行っているという。LCCではなく、あえて"ニューエイジ航空"と位置付ける同社はどんな航空会社なのか。

  • 関空=ハノイ線を11月8日に就航。現在、A321neoでの羽田=ホーチミン線就航に向けて、交渉を行っている

    関空=ハノイ線を11月8日に就航。現在、A321neoでの羽田=ホーチミン線就航に向けて、交渉を行っている

2023年までにワイドボディ機含め200機以上へ

11月8日に就航する関空=ハノイ線は、新規に導入した最新のエアバスA320で毎日運航し、大阪とハノイを片道4時間強で結ぶ。ハノイ発便は毎日01:45に出発し、関空に7:50に到着。また、関空発便は9:20に出発し、ハノイに13:10に到着する(全て現地時間)。関空=ハノイ線の航空券は6月8日(予定)より、公式ウェブサイト等を通じて販売する。

  • A320とA321で計60機を保有しており、関空=ハノイ線にはA320を導入する予定

    A320とA321で計60機を保有しており、関空=ハノイ線にはA320を導入予定

ベトジェットエアは2007年に設立。2011年の運航開始を経て、現在ではベトナム国内線38路線、アジア地域への国際線44路線を展開し(関空線を含めると45路線)、毎日385便以上を運航している。

機材はA320とA321で計60機を保有しており、2017年12月には東南アジアの航空会社で初めてとなるA321neoを受領した。今後、アジア太平洋地域での更なるネットワーク拡張をするために、ボーイング737 MAX 8等の最新航空機を導入していき、ワイドボディ機も含め、2023年までに総機体保有数200機以上を構想している。

  • ベトジェットのA321ceo初号機はちょうど、エアバスにとって9,000機目の機体だった

    ベトジェットのA321ceo初号機はちょうど、エアバスにとって9,000機目の機体だった

  • ボーイング737 MAX 8等の最新航空機を導入していく

    ボーイング737 MAX 8等の最新航空機を導入していく

今回の路線は日本への定期便としては初ではあるが、チャーター便は2014年12月の関空線を始めとして、成田・仙台・名古屋・小松・茨城・福島といった都市からベトナムへの直行便を展開してきた。関空=ハノイ線は当初、6月24日より関空乗り入れで国交省に経営許可申請をしていたが、「5月(7日)の段階で国交省から許可がおりたが、それから1カ月では準備が足りないと思った。我々が優先するのは、フライトの安全性と機内サービスです」(グエン・ティ・トゥイ・ビン副社長)という理由から、就航が11月8日にずらされた。

  • グエン・ティ・トゥイ・ビン副社長

    グエン・ティ・トゥイ・ビン副社長

今回、初めての路線を関空にした理由としてグエン・ティ・トゥイ・ビン副社長は、「飛距離やクルーの指導を考慮して、関空=ハノイ線が適していると思った。次は羽田=ホーチミン線を予定しており、今、手続きを進めている。早期に認可がおりることを期待している」と話しており、続く羽田線以降は最新機材であるA321neoでの就航を構想している。

また、ベトジェットエアは2017年7月に、JALと包括的業務提携を行うことについて覚書を締結し、JALとベトジェットエアのそれぞれ運航する国内線、および、ベトナムとアジア諸国をつなぐ路線にてコードシェア便を展開する。今後も、フリークエントフライヤープログラムの提携や機材の運用、メンテナンスおよび地上業務のサービスとトレーニングなどといった様々な面での協力体制を強化していくという。

  • ベトジェットエアは2017年7月に、JALと包括的業務提携を行うことについて覚書を締結した

    ベトジェットエアは2017年7月に、JALと包括的業務提携を行うことについて覚書を締結した

着目は「低コスト」よりも「新しい体験」

低価格な航空券で、受託手荷物や機内食等のサービスを有料にするという意味で、ベトジェットエアはLCC(ローコストキャリア)として位置づけられるところだが、プレス向けの配布資料では「LCCではありません」と注意書きが入れた上で、"ニューエイジ航空"であることが強調されていた。実際、「LCCと何が違うのか」という質問をよくされるとグエン・ティ・トゥイ・ビン副社長も話す。

  • 機内食等のサービスが有料なのはLCCと同じ

    機内食等のサービスが有料なのはLCCと同じ

そのサービスの特長としてグエン・ティ・トゥイ・ビン副社長は、「我々はお客さまが求める全てのサービスを提供できる。我々のモットーは単なる移動ではなく、新しく楽しい体験をしてもらうことであり、今までのLCCとは違うサービスを提供していきたいと考えている」と話す。例えば、機内で旅行保険に加入できたり、旅先ですぐ使うために機内で水着が買えたりなど、付加価値のあるサービスの提供を目指している。

ベトジェットエアには計40カ国出身の約4,000人のスタッフがおり、客室乗務員も英語・フランス語・韓国語・タイ語・中国語・日本語等、多くの言語でサービスを提供。日本路線にも、日本語に対応するスタッフが乗務にあたる。カジュアルさとフェミニンさを併せ持った制服をまとう客室乗務員は、プロフェッショナルなサービスのみならず、機内の時間を楽しいものにしてくれるフレンドリーなサービスも展開する。

  • 日本路線には日本語に対応する客室乗務員が搭乗する

    日本路線には日本語に対応する客室乗務員が搭乗する

今までの新規就航便では就航を記念した特別イベントとして、ビキニショーや江南スタイルのダンスショー、バラで満たされた空間演出など、様々な機内イベントを展開してきた。今回の関空=ハノイ線でも、「最後まで楽しみにしていただきたい」とグエン・ティ・トゥイ・ビン副社長は笑顔を見せた。

  • 過去に行われた機内イベントの一例

    過去に行われた機内イベントの一例

利用者属性としては、アウトバウンド・インバウンド問わず、また、観光利用者のみならずビジネス利用者も含め、幅広い層の人々を視野に入れている。機内ではホットミールを最大9種類用意する他、インスタントラーメンやスナックなども用意。映画や音楽等のエンターテイメントや、機内誌・免税品等も展開する。

  • 免税品のほか、お土産にぴったりなグッズの販売も

    免税品のほか、お土産にぴったりなグッズの販売も

特に「Sky BOSS」はビジネス利用者も想定したサービスであり、無料での予約変更や座席指定、優先チェックイン、30kgまでの無料受託手荷物またはゴルフクラブ1セット・10kgの持ち込み手荷物無料、ラウンジ利用、優先搭乗、ドリンク&機内食、プライベートカーでの送迎等のサービスが付帯されている。

  • A320には180席、A321には約230席を設置

    A320には180席、A321には約230席を設置

2018年は、日本とベトナムの1973年の国交樹立から45周年を迎える年であり、日本はベトナムへのODA支援国としては世界最大、ベトナムへの投資額でも世界2位、そして、貿易相手国として世界で4位という位置をしめるなど、ベトナムにとって日本は牽引的役割の経済パートナーとなっている。観光においてもベトナム人訪日客は増加傾向であり、2017年のベトナム人の訪日客数は30万人を突破している(日本政府観光局(JNTO)より)。

ベトジェットエアは日本をアジア太平洋地域における戦略的市場と位置づけており、今後も積極的な路線展開を計画している。JALとの包括的業務提携により、コードシェアのみならず、両社のサイトでお互いの航空券を購入できる等の協議が進められているという。今後、どのような業務提携がされるのかにも注目したい。

  • 機内時間が楽しくなる、そんな客室乗務員たちのおもてなしにも期待

    機内時間が楽しくなる、そんな客室乗務員たちのおもてなしにも期待