親から受け継いだ旅館業だが、あの手この手で集客するも、業績は下がる一方。そんな時、「旅館コンサルタントにお任せを!」なんて広告を目にした。相談してみたいけど、実際どんなことをしてくれるんだろう? というわけで今回は、「コンサルタント」について解説します。

■「コンサルタント」の意味

はじめに、「コンサルタント」の英語(consultant)について調べてみたところ、「consult」は「相談する、協議する」、「ant」は「~する人」という意味でした。

ビジネスにおける「コンサルタント」は、ある特定分野における専門的知識や経験を持ち、クライアントが抱える問題について相談にのったり、助言を行う専門家のことを言います。

■コンサルタントの必要性

相談にのったり、助言を行うだけなら、「ちょっとした専門知識さえあれば、誰でもできるのでは?」「何でわざわざ外部に頼むの?」と思う人もいるのではないでしょうか。

企業の中にも、各分野のスペシャリストは存在すると思いますが、長く同じ企業で働いていたり、同じメンバーとだけ働いていたりすると、固定概念やしがらみが邪魔をして、新しいアイディアが浮かばない、抜本的な改革を提案しづらい状況に陥りがちです。

そうなってしまうと、ビジネスの戦略を立てるにしても、過去の成功体験を再度持ち出すか、他社の成功例を真似るなど方法論に終始し、本当の問題点が見えていない場合が往々にあります。

その点、外部のコンサルタント会社に依頼すると、しがらみがない専門家が客観的に現状を見ることが可能です。また、日々、多くの企業の成功例や失敗例を目にしていることから、その企業の抱える問題に最適な改善策を提案することもできるのです。

■コンサルタントの仕事

コンサルタントが行う業務のことを、「コンサルティング」と言います。コンサルティングは、企業の中に入って実際の業務を間近で見たり、多くの社員から話を聞いたりして、徹底的に現状を分析し、問題点を探るところからはじまります。

あらゆる角度から分析する必要があるため、コンサルタント会社には、経理や法律、IT、マーケティングなど各分野に長けた人材が在籍しており、依頼を受ける度に、その企業に適したチームを組むのが一般的なようです。

コンサルタントにとって重要な資質としては、クライアントが納得できるだけの説明能力と業務改善提案ができるかが挙げられます。いくらコンサルタントが、「この戦略で行けば絶対に成功します」と言っても、最終的にやるかやらないかを決めるのはクライアントです。それを裏付けるだけの事実と経験、多くの企業を見て培ってきたノウハウを基に仮説を立てるだけではなく、クライアントの立場になって共に考え協議し、クライアントをやる気にさせることが求められるのです。

最近、輝かしい活躍ぶりが話題となっている女子テニスプレーヤー、大坂なおみ選手を例に挙げてみましょう。彼女の活躍には、コーチの存在が大きく影響していると報道されています。大坂選手はプロですから、テニスのスペシャリストと言えます。

そんなプロでさえも、自分の課題は何か、自分に合ったプレースタイルは何かを見失ったり、常に試合で最高のパフォーマンスをするのは難しいことなのです。そんな時、彼女の今の問題点を客観的に見極め、たとえ劣勢であってもやる気を奮い立たせ、勝利へと導く存在がコーチです。そこには、絶対的な信頼関係があるに違いありません。企業とコンサルタントの関係も、同じではないでしょうか。

■○○コンサルタント

キャリアコンサルタント
労働者の職業の選択や職業能力の開発、キャリアデザインなどに関する相談にのり、助言や指導を行う専門家。

環境コンサルタント
企業に対し、企業が消費するエネルギーを抑えるような提案をする専門家。

建設コンサルタント
建設技術を中心とした開発・防災・環境保護等に関して、計画・調査・設計業務を中心に、官公庁および民間企業を顧客としてコンサルティングを行う専門家。

ITコンサルタント
IT技術を用いて、顧客の要望や問題解決のための提案を行う専門家。経営効果、費用対効果などを明確に算出し、経営戦略の立案からシステム化の提案、企画運用評価などを行う。


相談するという意味を持つ「consult」ですが、さらに詳しく調べてみると、「con(共に、一緒に)」+「sult(座る)」、つまり、元々は「一緒に座る」という意味があることがわかります。共に悩み、考え、話し合い、実行する。コンサルタントは、時には良き伴侶であり、先輩であり、同士のような存在かもしれませんね。