まだ幼い頃に、クルマを扱った漫画に夢中になり、「大人になったらこのクルマに絶対乗る!」と心に誓った人もいるかもしれない。中には、いつしかそんな記憶も薄れ、今は家族向けのファミリーカーに乗っているという人もいるのではないだろうか。今回は、マイナビニュース会員505名に、「影響を受けたクルマ漫画」について聞いてみた。

  • 自動車に興味を持ったきっかけとなった漫画はなに?

    自動車に興味を持ったきっかけとなった漫画はなに?

Q.漫画をきっかけに自動車に興味を持ったことはありますか?

  • 漫画をきっかけに自動車に興味を持ったことはありますか?

はい 50.1%
いいえ 49.9

漫画をきっかけに自動車に興味を持ったことがある人は、全体のほぼ半数の50.1%となった。これを男女別に見ると、女性で「はい」と答えた人が28.4%だったのに対して男性では60.3%となり、クルマ漫画は男性に多く支持されていることがわかる。やはり、かっこいいクルマが男の子の憧れであることは確かなようだ。

Q.自動車に興味を持つきっかけとなった漫画をお選びください(複数回答可)

1位『頭文字D』(しげの秀一) 49.8%
2位『サーキットの狼』(池沢さとし) 34.8%
3位『よろしくメカドック』(次原隆二) 19.0%
4位『湾岸MIDNIGHT』(楠みちはる) 14.6%
5位『F』(六田登) 11.5%
6位『シャコタン☆ブギ』(楠みちはる) 10.3%
7位『ジゴロ次五郎』(加瀬あつし) 8.7%
8位『カウンタック』(梅澤春人) 7.5%
9位『オーバーレブ!』(山口かつみ) 6.7%
10位『赤いペガサス』(村上もとか) 5.5%

■1位『頭文字D』(しげの秀一)

映えある1位に輝いたのは、しげの秀一が描く『頭文字D(イニシャル・ディー)』。峠を高速で攻める“走り屋”たちを描いて、一躍人気作となった。連載は1995〜2013年まで、『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて。タイトルの"D"は、「ドリフト(drift)」のイニシャル、"D"を意味している。

主人公の高校生・藤原拓海は、家業である「藤原とうふ店」の配送を手伝い、群馬県の架空の山「秋名山」の峠道を日々走るうちに、優れたドライビング・テクニックを身につけることになる。拓海の駆るトヨタ・スプリンタートレノAE86(ハチロク)はいつしか「秋名のハチロク」として、近隣の走り屋たちに注目される存在となっていく。やがて彼は「頂点に立つドライバーになる」という目標を抱き、群馬の精鋭が結集した走り屋のチーム「プロジェクトD」に参加。格上と思えるクルマを操るライバルたちと数々の名勝負を演じ、その名を高めていった。

拓海の愛車であるトヨタ・スプリンタートレノ・AE86型、通称「ハチロク」は1987年に生産を終了しているが、本作の人気の影響で、中古車市場価格が高騰する結果となった。また、のちに同じく「ハチロク」の名を受け継ぐことになる、2012年発売のFRレイアウトのスポーツカー「トヨタ・86(ハチロク)」の開発につながったという。

TVのアニメ作品は連載継続中の1998年から開始され、地上波で2シリーズ、CSでも2シリーズがオンエア。そのほか、複数の劇場版やOVAも製作されてい

また、本作は土屋圭市、織戸学、谷口信輝、片山右京、中嶋悟らのレーシングドライバーからも支持されており、中でも土屋圭市はアニメ版の監修も務めている。作中のドライビング・テクニックである「溝落とし」や、「インベタのさらにイン」などを真似る読者が出現し、一部社会問題となるなど、本作の影響力はとても大きかった。

■2位『サーキットの狼』(池沢さとし)

2位は、昭和のスーパーカーブームの火付け役であり、今もクルマ漫画の代表的な作品である池沢さとしの『サーキットの狼』となった。1975〜1979年にかけて、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された。主人公の風吹裕矢が操るロータス・ヨーロッパは一躍日本でも有名となり、多くの少年たちが憧れるクルマの一つとなった。

物語は、街道レーサーである風吹がライバルたちとのバトルの中で腕を磨き、徐々にステップアップを果たし、ついには世界へと挑戦するまでになる成長の軌跡を描く。その過程で、風吹の乗るクルマもロータス・ヨーロッパからディノRS、チューンナップを施した日産・サニー、ランチア・ストラトス、シルエットフォーミュラに改造したストラトス、F3・F2・F1の各マシンと変化を遂げた。終盤は国産のF1マシン「ゼロ戦009」で1979年F1第6戦ベルギーGPへスポット参戦を果たし、ファイナルラップの最終コーナーまでライバルとのトップ争いを繰り広げている。なお、作中では最終順位は明らかにされていない。

本作は特に、連載初期の街道レーサー時代に人気を博した。その理由は、風吹の愛車ロータス・ヨーロッパを始め、ライバルたちが運転するフェラーリ308GTB/512BB、ランボルギーニ・ミウラ/カウンタックLP500S、マセラッティ・ボーラ、ポルシェ911カレラRS/930ターボ、デ・トマソ・パンテーラ、BMW3.0CSL、フォード・カプリ2000GT、トヨタ2000GT、フェアレディ240ZG/Z432Rなど、実在の名車が多数登場することだろう。これらの著名なスポーツカーが子どもたちの人気となることにより、日本にスーパーカーブームが到来することとなった。

■3位『よろしくメカドック』(次原隆二)

3位は、次原隆二による『よろしくメカドック』がランクイン。1982〜1985年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載された。市販車のチューニングとレースをメインのテーマに据え、クルマのチューニングショップ「メカドック」で働く傍ら、レースにも参戦する風見潤の活躍を描いている。

「メカドック」のレース出場車両として、トヨタ・セリカXX(MA60)、ホンダ・バラードスポーツCR-Xミッドシップ仕様、日産・フェアレディZ(Z31・300ZX)フルタイム4WD仕様、マツダ・サバンナRX-7(SA22C)、ホンダ・シティターボII・富士フレッシュマン仕様などが登場。メカドックの名に恥じぬさまざまな改造が施されており、ライバル車両と共にそのこだわりのチューンナップが注目を集めた。