引っ越しの際、大きな負担になる初期費用。少しでも減らしたいときにフリーレント物件は魅力的ですね。しかし、気を付けないと思わぬ落とし穴に落ちてしまうかも。家賃以外の支払い項目や契約開始日など、事前に確認しておきたいフリーレントの注意点を不動産・住生活ライターの高田七穂さんに伺いました。
Q.フリーレントってお得だよね。注意点はある?
A.合計額や期間などに注意
フリーレントとは、入居後の家賃を一定期間、無料にするものです。1~2か月程度が一般的ですが、なかには3か月程度のものも。長期間、入居者が見つからないアパートやマンションで多くみられます。大家さんが家賃を下げて募集すればよいのでしょうが、情報が公になると、現在の入居者から「家賃を下げてほしい」といわれてしまう可能性があります。そこで、最初の一定期間だけ家賃を無料にするという方法がとられることがあるのです。
借りる側からみると、少しでも家賃の支払いが減るのはうれしいですね。ただし、注意したい点はあります。
まず、ほかの費用について。
フリーレント期間があっても、その期間内の共益費などは払わなければならない場合があります。支払い項目と、期間内のその合計額を確認しておきましょう。
次に、フリーレント期間の起点に注意です。
入居日と契約日が一緒のこともありますが、契約書に明記された契約開始日がフリーレントのスタートです。入居が遅れてしまうと、フリーレント期間が短くなります。引っ越しや解約の日程の都合がなかなかつかず、ようやく入居したけど「1か月のフリーレントだったのに、結局1週間しかなかった」ということがあります。
さらに、最初の家賃支払い時期についても理解しておきましょう。
フリーレント期間が設定されていても、最初の家賃を契約開始時期に支払わなければならないことがあります。たとえば1月1日~3月31日までがフリーレント期間だったとしても、4月1日以降の家賃を契約時の前年12月に支払う内容になっている場合があります。この場合、準備する初期費用の総額は、フリーレントなしの物件と変わりません。また、民間賃貸住宅では「前家賃」契約が一般的。1月1日~1月31日までフリーレントで、1月1日に入居したら、2月分の家賃は1月末までに支払うことになります。
もう一つ、途中解約(退去)について。
契約期間内に解約する際には、違約金やフリーレント期間内の家賃を支払わなければならない内容が多くなっています。たとえば、3年契約で、2年で転居してしまう場合に当初のフリーレント分を払う、などです。金額は明示されているので、把握しておきましょう。入居後、なんらかの理由で契約期間内に退去せざるをえない可能性はゼロではありません。こういったことを考えて物件選びをしたいものです。
これらは、契約前の重要事項説明で説明されますし、契約書にも必ず書かれているので、印鑑を押す前にしっかり理解するようにしましょう。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中
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