若手声優・奥山敬人と筆村栄心のユニットBB-voiceが、4月4日にシングル「Duality」でアーティストデビューを果たした。

BB-voice
奥山敬人(おくやまけいと)。2月9日生まれ。三重県出身。スタイルキューブ所属。主な出演作として『スタレボ☆彡 88星座のアイドル革命』鳳慧役、『ナンバカ』七夕星太郎役など(左)
筆村栄心(ふでむらえいしん)。10月24日生まれ。北海道出身。スタイルキューブ所属。主な出演作として『スタレボ☆彡 88星座のアイドル革命』魚海愛役、『SHOW BY ROCK!!#』セレン役など(右)
撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

ふたりとも、デビュー前から精力的にライブ活動を続けており、奥山は声優以外にも『アイドリッシュセブン』など数々の作品で振り付け、モーションアクターを担当しており、ふたりのダンスの実力の高さに注目が集まっている。また、筆村は1級小型船舶操縦士免許を持ち、奥山は航空機関係の学校にも通っていたという異色の経歴を持つふたり。彼らが歩んできた道のりや、デビュー曲「Duality」にこめた思いなどを語ってもらった。

▼デビュー目指してライブやニコ生配信を自主的に企画

――BB-voiceは2016年に結成とのことで、デビューまでどのような活動をされてきましたか?

奥山 主にデビューすることを目標にライブ活動をしていました。事務所の先輩のライブなどに出させていただいて、ふたりでアニソンのカバーを歌っていましたね。それから、ニコニコ生放送などもやっていました。

筆村  あまり表に出る機会がなかったので、トーク力を磨くために自主企画もやっていたね。

奥山 事務所のメンバーたちと一緒に、事務所から機材を借りて、台本や構成まで自分たちで作って放送していました。いずれラジオなどのお話が来たときの、予行練習にと思って。

――自分達でガンガンやっていこうぜって感じだったんですね。デビュー前にもオリジナル楽曲は歌っていたのでしょうか?

筆村 自主ライブ企画で、参加者全員で歌ったオリジナル曲はありましたが、BB-voiceとしてはこのデビュー曲が初めてです。

奥山 「HAPPY! STYLE BoyS PARTY」という自主ライブ企画も行っていたんです。別の現場で知り合ったご縁で声優、ダンサー、アイドルの方々などに出演いただいて、男の子だけのライブイベントをやっていました。

――デビュー前のライブパフォーマンスで、意識していたことはありますか?

筆村 全くの無名だったので、少しでも僕たちの存在をアピールできればと思って、全曲振り付けを入れてカバーしていました。ケイティ(奥山)がダンスの振り付けができるということで、それを生かしたかったんです。

奥山 もともと振りが入っている曲も新たにアレンジを加えているんです。自主企画ライブでは、ゲスト出演者と一緒にパフォーマンスをするんですが、ちょっとダンスが苦手だという出演者がいたら、みんなで合わせられるような振りに変えるなど、工夫していましたね。限られた時間の中で最大限できるパフォーマンスをしようと。もちろんチャレンジしたいところもあるので、最初はレベルの高いところから提案するようにしていました。

――振り付けのお仕事もなさっている奥山さんならではの発想ですね。ここからは、おふたりのこれまでについて伺っていきたいと思います。奥山さんは、航空関連の学校に通っていたこともあるとか。

奥山 高校生の頃ですね。整備士を目指して航空系の高校で寮生活をしていました。ものすごく体育会系で、上下関係も厳しくて、朝5時半に起きて点呼をとるような生活です。ただ、整備士を目指して入学したものの、そこで部活動で、ダンスに出会ってしまったんですよね。そして、ダンスの仕事がしたくて、卒業後に上京して大学に入りました。

――そこから、声優になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

奥山 声優は……(笑)。

筆村 声優を目指してなかったもんね(笑)。

奥山 そうなんです。事務所に入ってから本気で声優になろうと思ったという。大学時代に、体育教師になってダンスを教える道に進むことも考えたんですけど、教えるよりもプレイヤーになりたいという欲が出て、その道を模索していました。

――そこから現在の事務所スタイルキューブには、どのような経緯で入ることになったのでしょうか?

奥山 大学を卒業したある日、アニメーターをやっている姉が、「最近の声優さんはダンスをする場面が多いよ」って教えてくれたんです。その時、ネットで調べたら、たまたまスタイルキューブの研修生オーディションを見つけまして。ダンスレッスンが無料で受けられるって書いてあったので「これは受けるしかない!」と思いました。応募するだけタダだし、落ちても他の道を探せばいいと思って。

――そこでオーディションに受かり、今に至ると。

奥山 事務所の研修生になって、声優のレッスンも受けるようになったら、お芝居はダンスと近いところがあるなって思ったんです。もともと僕は引っ込み思案で、ダンスによって自分を表現できるなと思っていたんですけど、お芝居についても同じだなと。

――振り付けやモーションアクターのお仕事も数多く手がけていらっしゃいますよね。これらも事務所に所属してからのことですか?

奥山 スタイルキューブは異色で、声優事務所だけど映像制作やモーションアクターの仕事もあったんです。初めての仕事は劇場版『とある魔術の禁書目録』の劇中歌の振り付け。自分の振り付けが映像に乗って、スタッフロールに名前があるのを見た時に、こんなふうに名前を知ってもらえる仕事が世の中にあるなんて、すごく素敵なことだなと思いました。スタイルキューブに所属していなかったら、絶対にこんな仕事はなかったと思うので、巡り合わせですね。

――異色の経歴をお持ちの奥山さんだからこそ引き当てることができたチャンスですよね。

奥山 やりたいことは一度やってみないと、という性格なので、ここまで色々な道を歩いてきましたけど、どれも全部無駄ではなかったと思うんですよね。それこそ、航空系の高校では人として必要な常識や礼儀などを学べたし。