クレジットカードの支払いをきちんとしていないと「ブラックリスト」に載るとよく言われますよね。しかし、そもそもブラックリストとはどんなもので、どんな場合に載ってしまうのでしょうか。今回は、ブラックリストに載ってしまう原因や、載ってしまった後の対策についてお伝えします。

  • 何をしたらブラックリストに載ってしまうの?

ブラックリストって何?

クレジットカードの支払いを延滞した人の名前が載っているリストを、「ブラックリスト」と考えている人は多いかもしれません。しかし、基本的にカード会社はそのようなリストをチェックしているわけではありません。

クレジットカードやローンの審査が通らないとき、「信用情報が汚れている」「傷がついている」などと言われることがあると思いますが、審査では「信用情報」というものが参照されています。

では、「信用情報」とはなんでしょうか? これは、クレジットカードやローンの申し込み、契約に関わる情報全般を指します。「クレジットヒストリー」とも呼ばれます。

信用情報機関というところが管理しており、カード会社や金融機関などが登録した情報が掲載されています。その中には、クレジットカードやローンを申し込んだ事実、その契約内容、毎月の支払い状況、返済残高などが含まれています。

つまり、信用情報には延滞のようなネガティブな情報だけが載るわけではありません。審査に通ってクレジットカードやローンの契約をしたこと、期日通りに返済していることなどの情報も登録されているのです。

いわゆるブラックリスト入りにはどんな理由がある?

信用情報には契約に関わるあらゆる情報が含まれるため、自分の情報が登録されること自体は、全く悪いことではありません。

ただ一般的には、主に次のような内容が含まれると、「クレジットヒストリーが良くない」とされ、のちにクレジットカードやローンの契約をするときに不利になる恐れがあります。いわゆる「ブラックリスト入り」の状態と言えるでしょう。

(1)延滞をした
期日通りにクレジットカードやローンの返済をしなかった場合。返済用銀行口座の引き落とし日に残高が足りず、引き落とせなかった場合も含みます。回数が多いほど、不利になる可能性が高いでしょう。

(2)カード会員の資格やローン契約を取り消された
カード会社、ローンの契約先から契約を取り消された場合。延滞後にすみやかに支払いをしない、申し込み時に氏名や住所、年収などについて虚偽の申告をした、カードによる買い物に不審な点があるなど、契約時の規約に違反すると、契約を取り消されることがあります。

(3)債務整理をした
カードやローンの返済が立ち行かなくなり、自己破産など法的な手続きをとって債務整理をした場合。

なお、これらはクレジットカードやローンに限ったことではありません。

たとえば携帯電話やスマートフォン。端末を分割払いで購入すると、割賦販売法という法律により分割払いの契約状況は信用情報に登録されます。ただし、通話料や通信料は対象外です。

また貸与型の奨学金も、延滞が続くと信用情報に登録されるケースがあります。例えば日本学生支援機構の場合は、卒業して奨学金の返還を開始してから6カ月経過時点で、3か月以上にわたって延滞が続くと、信用情報に登録されることになっています。

ブラックリストに載る期間と外れるための条件は?

信用情報の登録期間は、その情報の種類によって決まっています。このうち月々の支払い状況や解約、延滞に関する情報は、クレジットカードやローンの契約期間中はずっと、または契約終了後5年間は登録されます。完済していない場合は、完済してから5年後までです。奨学金の返還についても、同様です。

登録されている期間中は、その信用情報に誤りがない限り、自分で削除することはできません。クレジットヒストリーをきれいにするには、登録期間が過ぎるのを待つしかありません。

ただ、延滞などの過去が信用情報に含まれているからといって、その間に絶対にクレジットカードを作れない、ローンを組めないとは限りません。

信用情報は、カード・ローン会社が審査の判断に利用するものではありますが、審査ではその内容や申込書の事項などを総合的に判断します。判断基準は契約先の会社や、申し込もうとするカードやローンの契約内容によって異なるため、同じ情報であっても、審査に通ることもあれば、通らないこともあります。

ブラックリストに載っているか確かめる方法はある?

自分の信用情報がどこに、どんなふうに掲載されているかを知りたいときには、信用情報機関に照会することができます。

国内には以下3つの信用情報機関があり、いずれも「開示」といって、登録されている自分の信用情報を書面で提示してもらえます。

(1)株式会社シー・アイ・シー(CIC)
(2)株式会社日本信用情報機構(JICC)
(3)全国銀行個人信用情報センター(KSC)

3つのうちどの信用情報機関に自分の情報が登録されているかは、契約しているカード・ローン会社が分かれば確認できます。各信用情報機関は、加盟している会社一覧を公表しています。また、カード・ローン会社の規約にも、どこの信用情報機関に登録しているかが明記されているはずです。

信用情報を開示してもらうためには、本人または代理人が窓口か郵送で申込書と本人確認書類を提出し、手数料1,000円を支払う必要があります。本人が申し込む場合には、インターネット上でも手続きができます。

  • PCやスマートフォンからも信用情報の開示が可能

開示手続きをすると、後日「開示報告書」という書面が公布されます。ここには、いわゆる「ブラックリスト」にあたる内容だけでなく、登録されている信用情報がすべて掲載されています。氏名、住所などのプロフィール、契約先、契約の種類や支払い状況、債務の残高などです。

支払い状況については、登録期間中1カ月ごとに、期日通りに入金したかどうかが明示されています。主にこの部分を見れば、審査に関わる信用情報を確認できるでしょう。

ただし、信用情報機関が提示してくれるのはあくまでも客観的な信用情報のみです。審査を行っているのはあくまでもクレジットやローンの会社ですから、審査に通らなかった理由などは教えてもらえません。

クレジットカードを作ろうとしたけれど、審査に通らなかった、過去に延滞したことがあって、これからローンを組むのが不安、というときは、一度信用情報を確認してみると安心ですね。

※写真と本文は関係ありません

加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。