NTT都市開発は4月6日、京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町で進める「新風館再開発計画」について、エースホテル(本社: 米国ニューヨーク州)とホテル運営委託契約を締結したと発表した。日本のみならず、アジア初となる「エースホテル京都」の出店が決定し、2019年末の開業を予定している。

  • 「新風館再開発計画」の烏丸通側エントランス

    「新風館再開発計画」の烏丸通側エントランス

NTT都市開発は、東京のみならず全国主要都市で事業を展開しており、京都においても2001年開業の「新風館」、2010年開業の「ラクエ四条烏丸」、2019年開業予定の「元清水小学校活用計画」など多様なプロジェクトを進め、地域に貢献する街づくりに取り組んでまいる。京都の人々の交流拠点として長く愛されてきた「新風館」跡地での同再開発計画は、同社にとって京都における中核の複合開発プロジェクトとなる。

同社は再開発計画の核として、独自のコンセプトで世界中にファンを持つエースホテルを誘致することにした。エースホテルは、地域性を取り入れてロケーションごとに独自のデザインを施し、地域コミュニティや周辺企業とのコラボレーションにより新たな文化発信と地域活性化の拠点を形成している。

  • 「新風館再開発計画」の東洞院通側エントランス

    「新風館再開発計画」の東洞院通側エントランス

京都市内における商業・観光の主要な動線となっている烏丸通に面する旧京都中央電話局は、大正時代の建築であり、京都市指定・登録文化財第一号として、京都の街並みを形成してきた。2001年からは商業施設「新風館」として生まれ変わり、街ににぎわいを作ってきた建物である。同計画では風格のある歴史的街並みを保存しつつ、京都の都市環境への貢献を行い、にぎわいと魅力あふれる街づくりを目指している。

  • Ace Hotel Palm Springs

    Ace Hotel Palm Springs

  • Ace Hotel London

    Ace Hotel London

  • Ace Hotel New Orleans

    Ace Hotel New Orleans

そんな地にNTT都市開発とエースホテルが組むことで、世界的な観光スポットとして知られ、多様なホテルが展開する京都の地に新風を吹き込み、世界中から集まる旅行者や、地域住人の交流拠点となることを目指す。また、このプロジェクトをより価値あるものとするため、建物の建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が担当する。

新風館再開発計画は「伝統と革新」という新風館のコンセプトを継承し、「この場所ならではの魅力を持つ、京都のランドマークとなる開発」を新たなコンセプトに加え、新風館がホテルと商業の複合施設に生まれ変わる。

  • 既存棟と新築棟、両方にまたがるようにして、ホテルエリアと商業エリアが広がる

    既存棟と新築棟、両方にまたがるようにして、ホテルエリアと商業エリアが広がる

今回の計画では、新たに地下2階で地下鉄烏丸御池駅と直結致する。また、1階では地域に開放された中庭を中心に、烏丸通から東洞院通を繋ぐ賑わいのあるパサージュ(商業店舗が並ぶ通路)や、姉小路通への通路を設け、回遊性を高め、街歩きに変化をもたらし、街のランドマークとなる開発を目指す。

新築棟については、地下1階から地上1階に飲食・物販など様々な魅力的な商業店舗を導入し、2階から7階はエースホテルとする予定となっている。烏丸通に面した既存棟は、1階を商業施設とし、2階及び3階はホテルの客室となります。電話局から商業施設、ホテルへと、建物は変わらないまま時代を超えて生き続ける。隈研吾氏が担当する建物の外装デザインは、ルーバーや木組みを多用し、京都の街の景観との調和を図る。

エースホテル代表取締役社長のブラッド・ウィルソン氏は、「日本で事業を展開することは、私たちの長年の夢でありました。京都の美と歴史に敬意を表しながら、世界に広がるネットワークと新しいカルチャーを育くむ空間を造るという、私達の共通の夢の完成に向けて、NTT都市開発や隈研吾氏をはじめとする、名実ともに優秀なチームとご一緒できることは、光栄であり身が引き締まる思いです」とコメントしている。

  • 建物の建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が担当

    建物の建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が担当

外装デザインを担う隈氏は、「京都という場所とつながった、地域にひらかれたホテルを造りたいと考えた。まず、平安時代から様々な庭が造られてきたこの場所に、地域とホテル、そして現代と過去がつながる濃密な庭を造ろうとした。京都の和の伝統を引き継ぐ木組みと、日本の近代建築の巨人吉田鉄郎の設計した京都中央電話局の赤レンガがこの中庭で出会い、木とレンガが新しい会話を始めるだろう」とコメントしている。

デザインに関して、京都らしい姉小路通や東洞院通に対しては、細やかなルーバーとメッシュでそれらの"通り"の繊細さに呼応。そのルーバーとメッシュは、光と風を優しくろ過する環境装置という位置づけにもなっている。さらに、コンクリートに酸化鉄を混入して、塗装に頼らない暖かい発色を試みる。

  • 「新風館再開発計画」地は京都市営地下鉄「烏丸御池」駅から徒歩1分

    「新風館再開発計画」地は京都市営地下鉄「烏丸御池」駅から徒歩1分

新風館再開発計画
所在地: 京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2外
交通: 京都市営地下鉄「烏丸御池」駅徒歩1分
敷地面積: 6,384.73平方メートル
主要用途: ホテル、店舗
構造形式: 鉄骨造/地下鉄筋コンクリート造
規模: 地下2階/地上7階
建物高さ: 約31m
延床面積: 25,677平方メートル(予定)
ホテル客室: 213室(予定)
店舗面積: 約2,300平方メートル(B1及び1F)(予定)
着工: 2017年10月
開業: 2019年末(予定)
事業主: NTT都市開発
設計・監理: NTTファシリティーズ
建築デザイン監修: 隈研吾建築都市設計事務所
施工: 大林組