京浜急行電鉄は25日、2000形の営業運転終了を前に引退記念イベントを開催した。リバイバル塗装車による特別貸切列車「ありがとう2000形」が品川駅から運行され、京急ファインテック久里浜工場にて2000形の車両撮影会やトークショーなどが行われた。

  • 京急電鉄2000形。最後の編成となったリバイバル塗装車(2011~2018)の活躍も残りわずか

2000形最後の編成となったリバイバル塗装車(車体番号2011~2018、8両編成)は1982年に登場。前4両(2011~2014)は東急車輛、後4両(2015~2018)は川崎重工の製造で、当時は片側2ドア、車内はクロスシートだった。落ち着いた車内やスピード感ある車体デザインが評価され、鉄道友の会ブルーリボン賞も受賞している。1998年に京急車輌で改造を受け、片側3ドアの通勤仕様に。車内はドア間の座席がロングシートとなった。2013年以降、デビュー当初の塗装を再現したリバイバル塗装車として活躍してきた。

京急電鉄は2000形の引退を記念し、3月11日に「さよなら2000形記念乗車券」を限定発売。購入特典の当選者が3月25日の引退記念イベントに招待され、当日は96名が参加した。特別貸切列車「ありがとう2000形」は9時すぎに品川駅3番線ホームから発車。「鉄道BIG4」の岡安章介さん(ななめ45°)と吉川正洋さん(ダーリンハニー)、「女子鉄アナウンサー」の久野知美さんが乗車し、走行中の車内で鉄道タレントとの写真撮影も行われた。

  • 品川駅から運行された特別貸切列車「ありがとう2000形」。岡安章介さん(ななめ45°)ら鉄道タレント3名も乗車

特別貸切列車は横浜駅・上大岡駅などの主要駅も通過しつつ、約1時間かけて京急線を走行し、10時すぎに京急ファインテック久里浜工場に到着。その後、鉄道タレント3名によるトークショーが行われ、それぞれ2000形に対する思いなどを語った。

岡安さんは『笑神様は突然に…』の罰ゲームで自宅の部屋を鉄道グッズだらけにされ、その際にカーテンを京急2100形から2000形のものに代えてもらったエピソードを披露。「自宅のカーテンが2000形なんて、なかなかいないでしょ」とコメントするも、参加者の中に京急2000形のカーテンを使っている人が2人いるとわかり、「すごい! いらっしゃるんですね~」「やっぱり2000形愛されてますね~」と驚いた様子だった。ちなみに、2人のうち1人はカーテンの他に2000形の運転席の椅子も持っているという。

吉川さんは2000形が表紙の「鉄道ファン」を手に、「僕が5歳か6歳の頃に2000形がデビューして、『超カッコいい!』と思いましたよ。デザインがガラッと変わり、座席が集団見合い型になってカーテンも付いて。昔の京急の車両もかっこいいけど、2000形は『新時代が来た!』って、5歳にして思いました。僕の中では、いまでも快特といえば2000形」とコメント。「鉄道ファン」を読み返しながら、「京急といえば『ロングおじさん』がいろいろ教えてくれてましてね。2000形のこともたくさん書いてあるんですけど、『形式番号がデハもサハも同一なのはおかしい』『点検蓋はいらないんじゃないか』『運転室の後ろの客席はなぜロングシートなんだい? 同じ2人掛けならクロスにしてほしかった』とか、けっこう切り込むんですよ(笑)」と語った。

久野さんは「鋼鉄の車両ってかっこいいですよね。とくに入線してくるときの迫力がすごい」と話した後、引退後の2000形に関して「もし可能なら、ことでんあたりで……。先輩方も行ってますし、走ってくれないかな~と思っちゃうわけですよ。仕様的に難しそうですけど」とのコメントも。トークショーは2回に分けて行われ、京急電鉄の1日平均乗降人員11~20位を当てるクイズもあり、参加者も巻き込んで盛り上がりを見せていた。

  • 京急ファインテック久里浜工場で下車した後、鉄道タレント3名によるトークショー。吉川正洋さん(ダーリンハニー)が「鉄道ファン」を手に2000形への思いを熱く語った

  • 車両撮影会の後、鉄道タレント3名と参加者全員で記念撮影。その後、2000形の運転台に花束が置かれた

1回目のトークショーの後に車両撮影会が実施され、参加者たちは特別ヘッドマークを掲げた2000形をさまざまな角度から撮影していた。方向幕を回して行先・種別などを変更する場面もあり、平和島行のエアポート急行、上大岡行の急行、京急川崎~小島新田間(大師線)の普通など、イベントならではの表示に参加者からどよめきが起きた。最後は三崎口行の特急となり、特急「初日号」のヘッドマークも掲出。参加者全員で記念撮影を行った後、運転台に花束が置かれ、その様子を多くの参加者が撮影していた。

イベント終了後、参加者らを乗せた2000形が京急ファインテック久里浜工場から京急久里浜駅まで運行され、岡安さん、吉川さん、久野さんは工場から手を振って2000形を見送った。2000形最後の編成(リバイバル塗装車)は3月中に営業運転を終える予定。「ありがとう2000形」の特別ヘッドマークは営業最終日まで掲出するとのことだった。

  • 2100形リバイバル塗装車の車内・外観

  • 車両撮影会では計11種類の行先・種別などが表示された