お笑いコンビのアンジャッシュが2日、東京・麹町の日本テレビで行われた同局系バラエティ特番『エンタの神様 2018春SP(仮)』(24日19:00~20:54)の収録後に取材に応じ、ブレイクのきっかけとなった番組への思いを語った。

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    アンジャッシュの児嶋一哉(左)と渡部建=日本テレビ提供

2003年4月19日にスタートした同番組は、この春で放送開始15年。05年1月22日と同年3月12日には、最高視聴率22.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録し、10年3月でレギュラー放送が終了した後も、12年4月7日から特番として継続している。アンジャッシュは、番組草創期の03年6月7日の第8回放送から出演しているが、今回の放送が130回目の登場となる。

当初は、お笑いだけでなく、音楽やマジックなど、さまざまな"エンタ"がごった煮になっていた構成で、渡部建は「浜崎あゆみさんが歌うVTRが流れたり、Mr.マリックさんが"松尾幻燈斎"っていうキャラクターが空中にある石に石を当てるみたいなVTRの後に、僕らが急に出てきてネタをやってました。めちゃくちゃ迷走している時代なんですよ」と説明しながら、「若手ながらに、正直、速攻終わるなと思いましたね」と本音を暴露。児嶋一哉も「15年も続くとは思わなかったですね」と同調した。

出始めた頃は月1回のペースで収録に参加していたが、その後番組がお笑い一本になると、2週に1回にペースアップ。渡部は「日テレの入構証を作らされて、どこの仕事の現場が終わっても麹町か汐留に来て、それまでのネタのストックもなくなるから、作って出すみたいなことをしなきゃいけなくなって、その時はほぼ住み込みのような状態でしたね」と述懐し、児嶋は「テレビのゴールデン番組で新ネタをおろすみたいな考えられない状況でしたね」と、当時の異常っぷりを客観的に驚いていた。

そんな同番組を仕切るのは、『マジカル頭脳パワー!!』などを手掛けたことで知られる、総合演出の五味一男氏で、アンジャッシュの2人は、番組開始当時の五味氏の年齢に、自身が追いついたことを知って驚いたそう。渡部は「当時の僕らにしてみれば、よく言うと貫禄のある演出家。悪くいうと、頭の硬いじじいだなと思ってました(笑)」とぶっちゃけながら、演出の方針とぶつかっていた過去を明かした。

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  • 過去の出演場面(2005年)=同

渡部は「最初は全然(五味氏の)言うことを聞けなくて、僕らもライブでそこそこキャリアがあって、そこそこ結果も出てたので、(ネタ中にボイスフォローの)テロップを入れるとかが耐えがたくて、毎週ケンカしてましたね。今だから言えますけど、収録の日の朝まで『出ません』とか言ったこともあったんです」と告白。だが、「やっぱりテレビでネタをやるのがどういうことかというのを叩き込まれて、テレビというものを全部教えてもらった感じですね」という。

具体的には「僕らは、最初見逃したら後半は分からないみたいなネタばっかりで、それだと、陣内(智則)さんとかと比べて、すごい(毎分視聴率の)グラフが悪いんですよ。数字の悪い芸人はどんどん呼ばれなくなるので、とっくにクビになってもおかしくなかったんですけど、どういうことをすれば僕らの良さを出しながら、『エンタの神様』というフレームでできるのかというのを、徹底的に叩き込まれた感じでしたね」といい、「よく粘り強くやってくださったなと思います」と感謝した。

その演出手法には批判的な演芸ファンも多いが、渡部は「僕らも散々言われたんですけど、そもそもこの番組で知名度も出たし、お仕事もいただけるようになったし、これだけの人数にネタを見てもらえる機会って他にないので、そこは大人になったというか、テレビっていう媒体が分かった」と理解。五味氏とぶつかっていた当時を「すごい青臭いこと言ってたんだなと思いましたね。ガキすぎましたね」と振り返った。

それだけに、『エンタの神様』という存在は、自分にとって「全てですね」という渡部。「この番組で世の皆さまに認知していただいて、ご飯も食べられるようになって、いまだにネタをやらせていただいているという感じなので、『エンタの神様』ってどうかな…って考えている若手がもしいたら、"なんでこういう番組なのか"というのをちゃんと考えたほうがいいと思いますね。子どもからお年寄りまでが"いっせーのーせ"で見られる番組づくりって、こういうことなんですよ」とアドバイスした。

一方の児嶋は「僕らは1分2分のネタがなくて、(放送の)尺を結構食うんですよ。でも『エンタ』は長くて8分くらいやらせてもらうこともあったかな。そういう場を与えてくださったのは本当にラッキーだし、感謝しかないですね」と、番組への思いを語っていた。

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  • 今回のコント場面=同