生命保険でも自動車保険でも、しっかり保障は受けたいけれど保険料はなるべく抑えたいもの。健康面で一定の基準を満たしたり、運転診断で高い点数を取ると、保険料が割り引きになるという従来の生命保険・自動車保険のイメージを一新した保険商品が注目を集めています。

日頃から健康や安全運転に気を付けている人は、保険料を安くできるかもしれないテクニックを、「健康増進」と「安全運転」をキーワードにご紹介します。

健康に自信があるなら、保険料のキャッシュバックや割引商品に掛け替え

まずは「健康増進」にまつわる保険商品をご紹介しましょう。

普段からなるべく多く歩くようにしている、BMIや血圧などの数値もいいという人は保険料を安くすることができる保険商品が登場しています。健康に気を付けている人なら病気やケガもしにくいという考えのもと、ある基準を満たすと保険料が割り引かれたり、キャッシュバックされる仕組みです。

東京海上日動あんしん生命保険の「あるく保険」は、1日あたりの平均歩数が8,000歩以上になれば2年後に健康増進還付金としてキャッシュバックが受けられるというもの。契約者の健康増進や生活習慣の改善への取り組みをサポートすることにより、重篤な疾病から未然に守ることを趣旨として、NTTドコモと共同で開発。専用のウェアラブル端末とアプリで日々の歩数を計測し、1日あたりの平均歩数が8,000歩以上となる計測単位期間(6カ月)の数に応じて健康増進還付金を受け取ることができます。

  • 東京海上日動あんしん生命保険「あるく保険」の仕組み

日本人の平均歩数を基準とすると、男性はプラス約600歩、女性はプラス約1,600歩で平均8,000歩を達成できるそうです。少しの努力で保険料がキャッシュバックされ、さらに健康にも良いなら、モチベーションも上がってくるはずです。

  • 日本人の平均歩数

また、ネオファースト生命の「ネオde健康エール」は、実年齢ではなく、体格(BMI)、血圧、尿検査、血液検査の結果などから導き出される「健康年齢」に応じて保険料が設定されるという保険です。健康年齢には上限や下限が設定されており、上限がプラス5歳なのに対し、下限は18歳となっています。

たとえば実年齢が40歳の場合、実年齢と健康年齢が同じ40歳と保険料は月額1,782円ですが、健康年齢が35歳と5歳若かったら保険料は1,514円と約270円安くなります。逆に健康年齢が45歳と5歳分上回った判断だと、保険料2,162円と約380円高くなります。健康年齢が若くなればなるほど、保険料が安くなる仕組みです。

  • ネオファースト生命「ネオde健康エール」の仕組み

保険期間は3年で、3年ごとの更新時に健康年齢を測定します。最初の加入のときに健康年齢が高くても、加入後に健康増進を頑張れば、3年ごとに保険料が安くなる可能性があるのです。がんを含む8大生活病で入院したら一時金が年に1回を限度に支払われるという保障内容になっています。日頃から健康に気を付けていて健康年齢が若い人は、保険料を節約できるかもしれません。

  • 健康年齢判定に必要な検査項目

自動車保険も安全運転で保険料が安くなる

「安全運転」にまつわる自動車保険も登場しています。

車に乗る人のほとんどは任意の自動車保険に加入していると思いますが、特にはじめて自動車保険に加入するときは比較的高い保険料を支払うことになります。そんなはじめて自動車保険に加入する人にも朗報です。日頃から安全運転に注意しているゴールド免許の人だけでなく、新しく保険に加入する人も保険料の割り引きを受けるチャンスがあるのでチェックしてみましょう。

損保ジャパン日本興亜は2018年1月1日以降の契約を対象に、スマホアプリでの運転診断結果に応じて自動車保険料を割引する「安全運転割引」を導入しました。契約する前に専用のスマホアプリをダウンロードし、一定期間の走行データを元に、ハンドリングやブレーキ操作など運転特性の診断を受けます。この運転診断の結果に応じて割引スコアが算出され、安全運転で高得点を出すと新規加入する自動車保険の保険料が最大20%割引になるという仕組みです。

安全運転割引の対象となるのは、新しく車を購入して初めて自動車保険を契約する人、または2台目以降の車を購入して自動車保険の契約が増える場合に6(S)等級、または7(S)等級になる人が対象です。この内容に該当すれば、誰でも無料で何度でもチャレンジできるのも嬉しいポイント。はじめて自動車保険に加入するときは保険料が高くなりがちですが、この運転診断で高得点が出せれば保険料を抑えることができます。

  • 損保ジャパン日本興亜「安全運転割引」の仕組み

また、ソニー損保の自動車保険「やさしい運転キャッシュバック型」は、専用のドライブカウンタで運転の計測を行い、その結果に応じて保険料がキャッシュバックされます。急発進や急ブレーキが少ない方が事故になるリスクが低いので、ドライブカウンタで運転のスムーズさを測定し、結果に応じて保険料がキャッシュバックされます。点数が60点以上からキャッシュバックされ、90点以上だとキャッシュバック率は20%になります。

計測結果のレポートも送られてくるので、さらに自分自身が安全に運転するための振り返りもできます。家族のために安全運転を心掛けている人や、長年、無事故無違反でゴールド免許の人は高得点が狙えるでしょう。

  • ソニー損保「やさしい運転キャッシュバック型」の仕組み

今回紹介した保険は、近年のテクノロジーの発達とともにより便利に改良開発されたフィンテックを提案した新しいタイプの保険です。これまでの保険のイメージを一新し、健康や安全運転を意識することで保険料が安くなるだけでなく、自分の健康増進や安全運転を後押ししてくれます。今度ますます注目を集めるフィンテック保険、ぜひみなさんもチェックしてみてください。

  • alt

回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。