“艶”と“凛”でデザインを語るマツダ

モーターショーに出品されたコンセプトカーでは、マツダ「ビジョンクーペ」にも日本らしさが込められている。3年前のスポーツカーコンセプト「RXビジョン」同様、“艶”と“凛”という2つの日本の美意識を取り入れているからだ。

RXビジョンでは艶の部分を強調したのに対し、今回のビジョンクーペでは凛の部分を強調したそうだ。それをダイナミックな線に頼らず、優美な面で表現した。欧米のジャーナリストからも評価されている理由は、欧米とは違うデザインの価値観を見出したからだろう。

  • マツダ「ビジョンクーペ」
  • マツダ「RXビジョン」
  • “凛”の「ビジョンクーペ」(左)と“艶”の「RXビジョン」

木造家屋とも通底? 日本で独特な形のクルマが生まれる理由

モーターショーでは発表されなかったが、今年はスズキ「ジムニー」のモデルチェンジも噂されている。すでに出回っているスクープ写真によれば、現行型より角張った、先代を思わせる機能重視のスタイリングになりそうだ。こちらも登場前から多くのクルマ好きの注目を集めている。

軽自動車は基本的に日本専売車種であり、以前からダイハツ「タント」やスズキ「ハスラー」など、欧州のカーデザインの流れとは異なるスタイリングを取り入れ、人気を博していた。

  • ダイハツ「タント」
  • スズキ「ハスラー」
  • ダイハツ「タント」(左、画像提供:ダイハツ工業)とスズキ「ハスラー」(画像提供:スズキ)

いずれも木造家屋を思わせる水平基調の造形で、欧州に比べて平均速度が低く、空気抵抗などをそれほど追求しなくてよいためもあり、背が高く四角いフォルムが特徴だ。

こうした方向性は前に紹介したセンチュリー、ハイラックス、ハイエースにも通じる。日本の風土や環境から生まれた、日本ならではのカーデザインと言えるのではないだろうか。

かつては、それを欧州に比べて遅れているとする評論もあったが、ユーザーはそこにカッコよさを見出している。その状況にメーカーも気付き、応え始めた。2018年もジャパニーズ・ヘリテージを生かしたカーデザインがいくつか登場するだろう。筆者も日本人の一人として、それを望んでいる。