最大7人の多人数乗車が可能なSUV「CX-8」は、マツダがミニバンに代わる選択肢として、さらには同社のSUVラインアップの最上級モデルとして世に問う新型車だ。弊紙では商品概要試乗を踏まえた分析などを掲載してきたが、今回は発売日の12月14日にマツダ国内営業本部の高場武一郎氏に聞いた話をお伝えしたい。

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    マツダ「CX-8」の受注状況は

売れ筋は上位グレード、有料カラーも人気

まずCX-8の売れ行きだが、発売日までの予約受注は7,362台と好調な滑り出しとなっている。これは月間販売目標の1,200台に対しては6倍強の数字で、9月の商品発表から発売までに3カ月という期間があったことを考慮しても、1カ月あたりの予約数は月販目標の2倍強ということになる。国内の3列SUV市場で最も売れているトヨタ自動車「ランドクルーザー」シリーズでも、月間販売台数は1,000台くらいとのことだ。

CX-8には「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」の3つのグレードがあるが、予約受注の内訳は最上位グレードの「XD L Package」が43%、中間の「XD PROACTIVE」が51%と上位機種がよく売れている。ボディカラーはマツダがカタログなどで訴求する「マシーングレープレミアムメタリック」が33%と最多で、次点が「スノーフレイクホワイトパールマイカ」の23%、3位が「ソウルレッドクリスタルメタリック」の13%という結果だ。ちなみに、この3色はいずれも有料オプションで選べるボディカラーとなっている。

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    白も人気の「CX-8」

CX-8登場で注目すべき「防衛率」とは何か

高場氏はマツダにとってのCX-8の戦略的な位置づけを「防衛率」という指標を使って説明した。防衛率とはマツダ車からの乗り換えを行う顧客のうち、再びマツダ車を選ぶ人の割合がどのくらいかを示す数値だ。ここ最近は販売面の改革が奏功したこともあり、防衛率が50%を超えるなど改善してきているというマツダだが、それまでは長きにわたり、防衛率の低さに苦しんできた経緯がある。

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    マツダ国内営業本部・ブランド推進部主幹で、「ロードスター」「CX-5」「CX-8」のマーケティングを担当する高場武一郎氏

マツダの課題は、マツダ車から他メーカーに乗り換える人(マツダが流出を防衛できなかった顧客)がどんな人で、どんなクルマを選んでいるかを知ると分かりやすい。

高場氏によれば、マツダから流出する顧客は、未就学~高校生くらいの子供を抱えるファミリー層であるケースがとても多いという。そういう流出客が最も多く選ぶ乗り換え先はミニバンだ。つまり、マツダの防衛率を押し下げる要因として、同社に多人数乗車ニーズを満たす商品がなかった、あるいは少なかったというポイントが浮かび上がってくる。同社には「ビアンテ」「プレマシー」「MPV」というミニバンがあるが、新世代商品群にミニバンはないし、今後も作る予定はない。

そんな状況の中で登場したのがCX-8だ。このクルマに乗り換えるのがどんな人で、どんなクルマからの乗り換えが多いのか、次に見ていきたい。