要求されるのは販売台数

トヨタ自動車は先日、クルマの電動化技術に関する説明会を開き、1997年の「プリウス」発売以来、約20年にわたる開発の過程で「電動化技術は磨かれている」と語ったが、この自信だけではZEV規制を乗り切れない点には注意が必要だ。

  • トヨタ「プリウス」

    トヨタがHV「プリウス」で磨いてきた電動化技術はEVなどにも応用可能だが、応用しただけではZEV規制対策として十分ではない

つまり、EVを売り出しただけでは規制を満せないのである。実際に、顧客が買った台数が義務パーセンテージに達しなければならないことを確認しておく必要がある。EVを作る上で電動化技術が必須なのは言うまでもないが、そのクルマが消費者に買ってもらえる魅力や商品性を備えたものであるかどうかも、ZEV規制への対応には同じくらい重要なファクターとなる。

十分な航続距離は前提に? どんなEVを作るべきか

では、買ってもらえる商品性とは何か。EVとして、航続距離などの性能が顧客の望む域に到達しているのはもちろんのこと、例えば、コネクティビティやデザインなどを含め、総合力が高く、先端技術が程よく盛り込まれたクルマでなければならないだろう。もはや、走行距離が短いとか十分だとかという議論ではなく、情報・通信を含めた先進性や、それを使いこなせるインテリアデザイン・装備、また時代を牽引するような魅力あるスタイルのEVでなければならないのである。

  • ホンダ「Honda Urban EV Concept」

    航続距離の長短でEVを議論する時代は早晩、終わるかもしれない(画像は東京モーターショー2017で撮影したホンダの「Honda Urban EV Concept」)

では、どのようなEVであればいいのか。答えは各メーカーが模索していくことになる。とはいえ、叩き台となるヒントはあるはずだ。