テスラに見る先進的で独自のEV
米国のテスラは、世界が注目するEVを作るメーカーだ。「モデルS」は400~600キロの航続距離を持つのみならず、キーを持ってクルマに近づけば自動的にロックが開錠され、ドアノブが手前に出てくるといったような先進性を示す。そして乗り込めば、イグニッションスイッチを入れるまでもなく、自動的にスイッチはONの状態となっており、いきなりシフトレバーを「D」へ操作し、アクセルペダルを踏み込めば走り出せる。
最新のIT機能を使い、所有者個人の認証がなされるなら、わざわざキーでドアロックを開錠したり、イグニッションスイッチを押したりする操作を運転者が行わなくても、走り出せるはずだという、エンジン車の時代には想像できなかったクルマと人との関係性が生まれている。
一方で、テスラのデザインは比較的オーソドックスだが、それでも簡素な造形の中にテスラならではの独自性が表現されている。その独自性は、モデルSに続く「モデルX」や「モデル3」へも継承されている。とはいえ、金太郎飴のように形が同じで大小のみ違うといった単純なデザインではない。
そうしたことに共感を覚えるからこそ、モデル3では、テスラが販売予約の受け付けを開始して間もなく、2016年の段階で30万台の受注を獲得し、約1年後には予約数が50万台に達したのだ。予約を入れ、納車される前に充電器を家に設置して待つ顧客が居る。そんなEVでなければ、ZEV規制を達成することはできない。
では、ZEV規制を達成できないとどうなるのか。