名古屋は全国屈指のビアガーデン激戦区。春先から開業するところも多く、営業時間も長い。そして、冬でもやっているビアガーデンだってある。目玉の食材は冬が旬のかき、そしてふぐ!! カジュアルかつリーズナブルで女子会や忘年会、新年会にもうってつけだ。

アツアツの料理と財布にやさしいお値打ちさで、寒さも吹き飛ぶ名古屋の冬ビアガーデンを紹介しよう。

  • 柳橋とらふぐ鍋ガーデンのとらふぐ鍋コース

    国産のとらふぐを使っててっさや鍋、雑炊と堪能できる。飲み放題付き5,400円は"赤字覚悟"という触れ込みに偽りなしのリーズナブルさ(写真はとらふぐ唐揚げ付きのちょっと贅沢コース6,480円)

市場の屋上を活かした人気ビアガーデンで"とらふぐ鍋"を堪能

名古屋駅前の柳橋中央市場は、全国でも非常に珍しい都心の駅前にある卸売市場。その一角にあるマルナカ食品センターの屋上を活かした柳橋ビアガーデンは、市場直送の新鮮魚介を食べられる、これまた珍しい"素材重視"のビアガーデンとして人気を博している。

ここで、「夏のお客さんに還元しよう!」という心意気から4年前にスタートしたのが「柳橋とらふぐ鍋ガーデン」。なんと、高級食材のとらふぐ料理をリーズナブルに食べられる、他にないビアガーデンだ。

  • とらふぐのちり鍋

    とらふぐのちり鍋。シンプルな水炊きで素材の持ち味を堪能できる

とらふぐ鍋コースは、基本のコースが飲み放題2時間30分で5,400円。てっさやにこごりのおつまみ、雑炊、デザートなどが付く。6,480円コースならとらふぐの唐揚げ、7,560円コースなら焼きふぐまで付いてくる。

やわらかくもギュッとした噛み応えがあり上品な甘みが広がるてっさ、ぷりっとした弾力、ぷるぷるの唇のコラーゲンなど、部位によって異なる味わいを楽しめる鍋。そして最後は、奥深いうまみが凝縮された〆の雑炊……。

調理法によって食感も味わいもバラエティ豊かに広がるとらふぐの魅力を、存分に堪能できるのだ。

  • ふぐ雑炊

    〆はスタッフが調理してくれる雑炊で

もちろんビアガーデンだけにお酒も楽しみ。ビールはプレミアムモルツが生、香るエール、黒の3種類。焼酎、ハイボール、チューハイ、ワイン、そして日本酒が甘口・辛口の2種類用意されているのもうれしい。ひれ酒は540円の別料金だが、なんと継ぎ酒が飲み放題。酒好きのふぐ通にはたまらない。

  • 柳橋とらふぐ鍋ガーデンのドリンク

    ビールをはじめ、ドリンクの種類も豊富

料理も追加料金によるオプションは多彩。離島・日間賀島から直送された特大大あさりや広島県産のかきフライ、お土産にもできる高級プリンもあって、食の楽しみ方も幅広い。

  • 魚介の網焼き

    別料金で魚介の網焼きなども追加できる

客席は全164席。ビニールシートで覆われているので寒さを感じることはない。32名から最大100名まで貸し切りできる個室スペースもある。

「始めた当初は年配のお客様が多いのでは、と思っていたのですが、予想以上に若い方のご利用が目立ちます。"この値段なら!"と初めてとらふぐを召し上がる方も多いようです」と木野一邦支配人。

  • 柳橋とらふぐ鍋ガーデン

    市場の屋上を活かして昭和のムードのビアガーデンに

実は愛知県はふぐの漁獲量が多く、知多半島などでは10数年前からふぐ料理を出す旅館や料理店が増えている。ご当地の冬の味覚としてじわじわ人気が高まっているふぐをより気軽に食べられる格好のチャンス。1月下旬までなのでお早めに足を運んでいただきたい。

●Information
柳橋とらふぐ鍋ガーデン
住所: 愛知県名古屋市中村区名駅4-15-2 マルナカ食品センター屋上
営業期間: 2017年10月27日~2018年1月21日
営業時間: 17時半~23時(土日祝は15時~)※ラストオーダーは30分前
定休日: 月曜、12月31日~1月4日、1月9日
アクセス: JR・名鉄・近鉄・地下鉄名古屋駅より徒歩5分

アツアツぷりぷりを豪快に味わうかきのがんがん焼き

名鉄百貨店本店の屋上も名古屋の人にとってはおなじみのビアガーデン。冬はここがかき小屋に変身する。

名物は店名の通り"かきのがんがん焼き"。かきをアルミ缶に入れ、豪快に蒸し焼きにする。焼き上がりを知らせるタイマーに合わせてふたを開けると、湯気がぶわっと湧き上がる。と同時に潮の香りの混じったかき独特の香りが広がり、テンションも食欲もマックスに。

  • かきのがんがん焼き

    かきのがんがん焼きはかき1kg(約10~14個)で1,940円。ポン酢やレモンなどお好みの味で食べられる

軍手をはめて専用ナイフで殻から身をむいて食べるのも、野趣にあふれていて楽しい。ぷりぷりアツアツの身からはじゅわっとコクのある滋味が口の中に広がる。これぞ冬の味覚!

  • 広島産かき

    かきは広島産。自分で殻からむいて食べるのも野趣を感じられ楽しい

メニューは他にも豪快石焼漁師鍋、かきフライ、かきのチーズ焼き、かきのガーリックオイル煮など、かき三昧。ビアガーデンで一般的なセット料金制ではなく、フードもドリンクもアラカルトとなっているので、好きなものを食べられる分だけ飲食できる。セルフではなくスタッフが注文・提供に応じてくれるフルオーダーシステムなのも、落ち着いて食事を楽しめていい。

  • 豪快石焼漁師鍋

    今シーズン新登場の豪快石焼漁師鍋。かき8個、えび4尾などが入って3,980円

あらかじめ予算を決めておきたい場合は、宴会メニュー(120分 3,300円)+飲み放題(100分1,600円)を利用するのもいいだろう(4名以上で要予約)。またランチ営業もしているので、百貨店という場所柄、買い物の途中でも利用しやすい。

  • かき小屋 がんがん亭

    席数は約150。百貨店の屋上とは思えないカジュアルな雰囲気

ビールケースをイスやテーブルに使うなど、漁師町のかき小屋風のリラックスしたムードを楽しめる一方、テント式の屋根を設けているので、屋上でありながら寒さを感じることはない。高層ビルが並び立つ周囲の夜景は、トイレに行く際にちらっと見える程度だが、それでも都心の屋上で過ごしていることを実感して、気分はより高揚する。

  • ブランケット

    ブランケットもあり寒さ対策も万全

3月末までと営業時間も長いので、旬のかきをたらふく味わいたい。

  • かき小屋 がんがん亭

    百貨店のエレベーターの扉が開くとすぐそこに入り口が

●Information
かき小屋 がんがん亭
住所: 愛知県名古屋市中村区名駅
営業期間: 2017年10月27日~2018年3月31日
営業時間: 11~14時半、17時~22時(土日祝は16時~)※ラストオーダーは各30分前
定休日: 2018年1月1日
アクセス: 名鉄名古屋駅よりすぐ

※価格は税込

筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信する。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。著書に『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『名古屋めし』(リベラル社)、『名古屋の商店街』(PHP研究所)、『東海の和菓子名店』(ぴあ中部支局/共著: 森崎美穂子)などがある。Webガイドサイト「オールアバウト」名古屋ガイド。愛知県や名古屋市などの協同プロジェクト、なごやめし普及促進協議会ではアドバイザーを務める。