エアバスとロールス・ロイス、シーメンスはロンドン時間の11月28日、ハイブリッド電気飛行機の飛行実験機「E-Fan X」を共同開発することを発表した。E-Fan Xは様々な地上テストプログラムを実施した後、2020年に飛行する予定となっている。

  • 飛行実験機「E-Fan X」のイメージ

    飛行実験機「E-Fan X」のイメージ

BAe 146飛行テストベッドを使用し、4基のガスタービンエンジンのひとつを2メガワットの電気モーターと入れ替える。システムの成熟度が実証されれば、第2のガスタービンエンジンを電気モーターに入れ替えることを予定している。

E-Fan X実験機によって、熱影響や電気推力管理、高度、電気システムの動的作用、電磁場適合性といった高出力推進システムにおける課題を調査する。技術、性能、安全性、信頼性を押し進め、成熟させることによって、ハイブリッド電気技術の早急な向上を目指す。また、電動航空機の将来的な証明取得の要件を確立すること、そしてハイブリッド電気商業航空機の実現を促進するための新世代の設計者やエンジニアの訓練も目標としている。

  • E-Fan Xの概要

    E-Fan Xの概要

E-Fan Xプログラムには、エアバス、ロールス・ロイス、シーメンスがそれぞれの分野で幅広い経験とノウハウを結集する。エアバスは全体的な統合と、ハイブリッド電気推進システムの制御アーキテクチャ、バッテリー、フライトコントロールとの統合を担当する。ロールス・ロイスはターボシャフトエンジン、2メガワットジェネレーター、パワーエレクトロニクスを担当。また、エアバスと共に既存のナセルとシーメンスの電気モーターのファンの適合に取り組む。シーメンスは2メガワット電気モーターとその電子制御装置、変換機、DC/DCコンバータ、電力分配システムを担当する。

現在の航空業界における最重要課題の中に、化石燃料への依存を減らし、より効率的で環境性能を向上した輸送方法への移行がある。エアバス、ロールス・ロイス、シーメンスは、欧州委員会の「Flightpath 2050 Vision for Aviation」(CO2排出を60%、NOxを90%、騒音を75%削減)のEUの技術環境目標を実現するために取り組んでいる。この目標は現在の技術では達成することができないため、3社は電化技術など、様々な分野の技術の研究に焦点を当て、投資を行っている。