――完成した映画をご覧になった最初の感想を聞かせてください。

大東:いやあ、笑いましたよ。僕らは一回も銀座に(ロケ撮影に)行っていないのに、最後のレッドバロンとブラックバロンの対決シーンでは、銀座の街並みが(CGで)広がっているんですから(笑)。

渡部:街のあちこちをボッコボコに壊してますよね。銀座にあいさつにも行ってない(笑)。なんか申し訳ないなって。

大東:決戦の舞台が銀座だっていうのは、監督の岡部さんによる遊び心なんです。撮影が始まる前から「最後は銀座を舞台にして戦うからね」って言っていた。

渡部:最初から舞台は決まっていたんですね。

大東:あえて、多くの人に馴染みのある市街地で巨大ロボットが戦う、というのが特撮映画の面白みだと考えていらっしゃるんです。岡部さんはやはりその道のプロなので、特撮の「ウマ味」をよく知っているなと思いました。ちなみにレッドバロンまわりはフルCGなのに対し、キルギス星人などは実際の造形物を使って、人が動かしていますからね。これもCGにしようと思えばできるはずですけれど、人が動かすことによる独特のイビツさのようなものがあり、これがまた特撮のウマ味のひとつなんですね。特撮の美味しいところを抽出することを知り尽くしている監督だと思いました。

――本作はかつて『シルバー仮面』『レッドバロン』を観ていた大人ファンはもちろんのこと、海外のヒーロー映画に親しんでいる若者世代にも十分アピールできる高水準のエンターテインメント映画だと思います。

大東:おそらく、まったく新しいヒーローキャラクターを生み出すことも可能だったと思うんですけれど、あえて過去の名作ヒーローをよみがえらせるという、面白い挑戦を行った作品だと思います。しかも、もともと単体の作品だった『シルバー仮面』と『レッドバロン』を合体させるなんて。もう、遊び心の塊のような作品ですね。

渡部:戦いが終わったその後、さらなる展開を予想させるカットが入るのもいいですね。

大東:僕自身、次回作があったらこういうことをやりたい、という思いが膨らんだんですよ。この作品1本で、自分の気持ちが完結してしまわなかったのはよかったと思います。できればぜひ続編を作っていただき、光二の"その後"を描いてほしいです。

――では最後に、映画の公開を楽しみにしている多くの人たちに向けて、お2人から熱きメッセージをお願いします。

渡部:特撮もの、ヒーローものにあまり馴染みがない人、観たことがない人もいらっしゃると思うのですが、この映画は特撮のいいところをギュッと凝縮している作品なので、初めて特撮ものをご覧になる方にとって、最適な入り口になるんじゃないかと思います。映画を観て「日本の特撮ものって面白いね」と思ってもらい、ハマるきっかけになれば……。ぜひたくさんの人たちに観ていただきたいです。

大東:元の『シルバー仮面』『レッドバロン』を観ると「子どもだまし」じゃないなって感じるんです。おそらく子どものころだと観ていて理解できないかもしれないくらい、深いメッセージ性やドラマ性をもっている。それが大きな魅力だったんですね。今回の『ブレイブストーム』も志は同じで、子どもの「憧れ」に敬意をはらっている作品に仕上がっています。子どもたちにとって、単純に楽しめる作品なのはもちろんのこと、数年後、大きくなってからもう一度観てもらったときに「こんな深いメッセージやテーマが込められていたのか!」と改めて思ってほしい。そして、かつて『シルバー仮面』や『レッドバロン』を子ども時代に観ていた大人の方も、今の子どもたちと一緒に観ていただければうれしいです。

大東駿介
だいとう・しゅんすけ 1986年生まれ。大阪府出身。2005年『野ブタ。をプロデュース』で俳優デビュー。『クローズZERO』(2007年)『旅立ち~足寄より~』(2008年)『望郷』(2017年)をはじめとする映画作品や『ウェルかめ』(2009年)『NHK大河ドラマ 平清盛』(2012年)『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(2016年)『フリンジマン』(2017年)などのテレビドラマ、そして舞台やCMなど幅広い分野で活躍中。2018年1月より舞台『PLUTO』への出演が決定している他、『曇天に笑う』(2018年3月21日公開予定)『YOU達HAPPY映画版ひまわり』(2018年夏公開予定)と、2本の映画の公開を控えている


渡部秀
わたなべ・しゅう 1991年生まれ。秋田県出身。2008年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞し、芸能界入り。2010年に『仮面ライダーオーズ/000』の火野映司役で連続ドラマ初主演を果たす。以後、『NHK連続テレビ小説 純と愛』(2012年)や『科捜研の女』第16、17シーズン(2017年)などのテレビドラマや『PIECE~記憶の欠片~』(2012年)『進撃の巨人』シリーズ(2015年)などの映画作品で活躍を続ける。2017年12月9日公開の映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』にて、5年ぶりに火野映司を演じることとなり、話題を集めている


秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載