ここでは、来る映画公開に向けた予習記事として『ブレイブストーム』でダブル主演を務めた大東駿介(シルバー仮面/春日光二役)と渡部秀(紅健役)に話を聞き、映画の見どころや、それぞれが演じた役の魅力を語り合ってもらった。

――まずは、最初に本作の台本を読まれたとき、どのような思いを抱かれましたか。

大東:僕はヒーローというものにずっと憧れを抱きながら、これまでヒーロー作品に一切出演しておらず、今回自分の中で満を持してヒーローを演じるような気持ちだったんです。30歳を過ぎた自分がヒーローを演じるにあたり、今だから出来ることをやりたいと。今の僕だから考えつくヒーロー像というものを、ぶつけてみたかった。例えば、作品の中で「きれいごとではすまない正義の価値観」という現実味のある描写があったので、その部分を大切にしたいと率直に思いました。

渡部:演じる紅健という人物のキャラクター性や、周囲との関係性など、さまざまな面でドラマ性が高く、やりがいのある素敵な作品だなという印象を持ちました。

――渡部さんはかつて『仮面ライダーオーズ/000』でヒーロー(火野映司役)を演じた経験をお持ちですが、本作での紅健は映司とはひと味違う、血気盛んな若者というイメージですね。

渡部:キャラクター設定は違いますが、ヒーロー系の作品は久しぶりという感覚でした。どのヒーロー作品、特撮作品にもいえることですが、物語そのものはいたってシンプル。この作品では、弱かった人間が強く成長し、悪に立ち向かう姿を見せていくというものです。久しぶりに"熱くなれる"作品の世界に戻ってきた思いがありました。

――本作のベースになった『シルバー仮面』『スーパーロボット レッドバロン』の2作品について、事前に意識されたことってありますか?

大東:台本を読んだ後『シルバー仮面』を観ましたが、人間の持つ不条理さや痛みなどが描かれていて、あの時代(70年代)でないと出しえない深いドラマがあるんだなと感じました。その上で今回の作品も、CG技術の発達によって凄い映像を見せるというだけではなく、人間の心の機微などを大切にする、"大人のヒーロー"を描きたいと思いました。

――映画の中で2人が最初にぶつかり合うシーンがとても印象的でした。強化スーツ「シルバー」を装着した光二に、ハードパンチが自慢のボクサーである健の攻撃が一切通じない、という。

渡部:あのアクションシーン、すごくよかったですよね。

大東:俺も好き。

渡部:撮影の前に一回だけ、立ち回りの練習をしました。

大東:したした! アクション監督を務められた野口彰宏さんがすばらしく優秀な方で、僕らが出したアイデアにも耳を傾けてくださって、いいところをどんどん取り入れていただいたんです。

渡部:けっこう話し合いましたよね。

大東:光二は強化スーツを着ているので、生身の人間とは力の差がありすぎる。光二と健とのパワーバランスを考えながらアクションをつけてもらいました。

渡部:特に、健の腕を光二がつかむ場面。あそこはお互いこだわって演じました。健が両手を使ってものすごく力を入れているのに、光二のほうは片手でまったく微動だにしないっていう。ひと目で、両者の力関係がわかるという画でした。

大東:アクションシーンで大事なのは、技を仕掛けるほうよりも受けるほう、つまりリアクションなんですよね。攻撃されてダメージを食らうほうが難しい。あのシーンは、渡部くんのリアクションがあるからこそ成立しているんです。強化スーツによる攻撃がどれくらいのダメージを与えるのか、僕(光二)の強さというのはすべて渡部くんの表現力の賜物です。あれは本当にすばらしかった。

渡部:うれしいです。

大東:地下格闘技場でのファイトシーンでも思いましたが、実際にアクションをやってみて、渡部くんの身体能力の高さを感じました。

渡部:大東さんも、殴るカットでは思いっきり来てくださって。僕もやりやすかったです。ガーンと衝撃が来ました。

大東:お互い、遠慮なしで思いっきりやってたね(笑)。