何を変えるのか

コンセプトを守りつつ店舗拡大を進める難しさを知るフレッシュネスで、改めて拡大路線を推し進めることとなった船曵社長。店を増やす上でのブランド戦略としては、「180度変えるわけではないが、“とんがり部分”を少し削る」つもりだという。

どのチェーン店もそうだろうが、フレッシュネスも始まりは個人商店だった。「とんがったコンセプト」を特徴とする、創業当初のような濃密な店作りを維持した上で店舗を広げるなら、「理想は20店舗くらい」というのが船曵社長の考えだ。「店舗数を100くらいに減らして、中身の濃い業態として渋く残っていくやり方」もあったというが、すでに多くのFC(フランチャイズ)オーナーを抱えるフレッシュネスとしては、数を減らす方向に進むのは難しい。それならば、変えるべきは変えて拡大路線を再び歩もうというわけだ。

2018年度からFC展開を加速し、2020年度には400店体制を構築する計画だ

では、例えば何を変えるのか。店舗改修を引き合いに出しつつ船曵社長は、新しくなった店の中には、あえてアーリーアメリカン調の内装を採用しなかった例もあるとした。

また、ファミリー層の多いフードコートでの出店では“おもちゃ付き”のキッズセットをメニューに採用。基本的にセット売りをしなかった方針を改めてランチセットを始めるなど、フレッシュネスは確かにイメージを変えてきている。

譲らない部分は

一方で、変えない部分として真っ先に挙がったのは「商品」に関する部分だ。「守るべきはハンバーガーのおいしさが一番。ただおいしいだけではなく、商品、内装、スタッフのユニフォームなどを含めた“オシャレ感”も残したい。商品展開については、例えばマンゴーバーガーやスパムバーガーのような(変り種を提案する)視点も持っておきたい」という。

社員・アルバイトからの高い人気とは裏腹に、売れ行きが芳しくないことから販売中止の可能性が浮上していた「スパムバーガー」だが、先頃の「生き残りキャンペーン」では見事に全商品中4位の販売数を記録し、メニューとしての存続が決まった

高くもなければ安くもないという感じの独特な価格設定については、今後も大枠で変えるつもりはないそうだ。「アッパーミドル」がターゲットと語る船曵社長は、アパレル業界で言えばファストカジュアルでもハイブランドでもない「セレクトショップ」のような立ち位置を目指すとした。

コンセプトの維持と店舗拡大は両立が難しそうなテーマだ。「社内でも賛否両論があっていい。しかし、いろんな意見を集約してしまうと、面白い店もできない。ある程度は意見を聞きつつ、ブランドのコンセプトを作る人は筋を通して、商品やデザイン、業態を作っていかないと。八方美人なブランドは受けないので」という船曵社長の言葉からは、ブランドの“とんがり部分”を削る作業の難しさも少し垣間見えた。

400店まで増えた時、フレッシュネスがどんな存在になっているのかは今後を見るしかないが、実際に、そこまで店を増やせるのかどうかも気になるところだ。その点について、船曵社長はどのような道筋を思い描いているのだろうか。