野村総合研究所は11月1日、米国トランプ政権が日本企業に及ぼす影響について調べたアンケート調査の結果を発表した。調査期間は2017年8月1日~9月30日、調査対象は米国に進出している日本企業、有効回答は136社。

NAFTA再交渉、44.9%が「マイナスの影響」

トランプ政権が掲げている各種政策及びそれに基づく変化についての実現可能性を尋ねたところ、「米国抜きでのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の発効」については52.9%が、「NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉」では52.9%が、「日米2国間の通商交渉」では50.7%が、「実現する可能性が高い」と回答した。

一方、「通商拡大法232条の行使」については「実現する可能性が高い」との回答は28.7%、「国境調整税の導入」では19.9%にとどまった。

それぞれの政策や変化が自社事業に与える影響を聞くと、「NAFTA再交渉」について「マイナスの影響がある」と答えた割合は44.9%、「国境調整税の導入」では41.9%に上った。他方、「米国抜きでのTPPの発効」について「どちらとも言えない」との回答は70.6%、 「日米2国間の通商交渉」では61.0%だった。これにより、見直しや交渉の内容が不透明な政策については「評価をつけにくい」と考えている企業が多いことがわかった。

各種政策が実現された場合の自社事業への影響(出典:野村総合研究所Webサイト)

米国事業の拡大に向けた各取り組みの着手・検討状況をみると、「現地生産比率の改善」については39.7%が「具体的な行動に着手しているか、検討を進めている」と回答。一方、「事業拠点の米国外から米国内への移転」については65.1%が「検討の予定はない」と答えた。