昼マック後の強化が課題

現在、マックでは10時までを朝マック、平日10時30分から14時までを昼マックとして展開している。

一日のスタートとして朝のコーヒー需要は多く、ブームではなく日本人の朝食文化としても定着してきている。一方、午後のティータイムはどうだろうか。英国などではアフタヌーンティーという文化が定着しているが、日本で午後のひと時をお茶とスナックで優雅に過ごすという文化は、残念ながら定着していないのが現状ではないだろうか。

実際に店舗に足を運んでみると、カフェタイムにかつて見慣れたママさんたちの集団や親子連れの姿は決して多くない。代わりに多く目立つのが、高齢者の方々や子供たち(単独)だ。子供たちはゲームに興じている姿が多く目につく。トレイを見回しても単品が多く、単価は決して高くなさそうである。

今回のコーヒー無料キャンペーンについて言えば、昼食後の集客が狙いのひとつであり、来店の動機付けが「スイーツ」ということになりそうだ。コンビニなどでは、いつでもどこでもというキーワードで商品設定を行っているチェーンが多く、特に午後にフォーカスした商品設定はしていない。どの時間帯に来店しても、同じ商品が購入できることがコンビニの強みであり弱みでもある。

それゆえ、午後の時間を充実させるために仕掛けられたアツアツのスイーツ「シナモンメルツ」は、コンビニにはない魅力を持っている。

「HOT JAPAN」キャンペーン発表会では、ゲストの石田ひかりさんが大野拓朗さんに「シナモンメルツ」を食べさせてあげていた

アルバイト確保も理由に?

マックが午後の時間帯で来店客を増やす努力を続ける裏には、実はもうひとつの狙いが隠されているのではないか、と推定される。

主婦層や女子学生はマックにとって顧客でもあり、一方でアルバイトとして重要な戦力でもある。15時台の来店促進は、来店客の増加を見込めるだけではなく、アルバイトの確保につなげる狙いもあるのではないだろうか。

ファストフードチェーンの多くは、時間帯による来店客数に基づいてアルバイトのシフト管理を行っている。客が来なければバイトシフトの開始時間を遅くするか、シフト人員を少なくする仕組みだ。一方で、学生や主婦は少しでも長い時間働きたい。このギャップを埋めるためには、集客面で穴となっている時間帯を強化し、アイドルタイムを少なくする工夫が求められる。カフェタイムの強化により、マックは来店客数の増加と労働力の確保の両面を狙っているのかもしれない。

コーヒーだけでは、多くの客を集める動機付けとして決して強くはない。来て欲しい客層に訴求できる商品が「スイーツ」だった。