「ご査収」の意味と使い方とは

仕事のメールで『ご査収ください』という文言を使っている人も多いでしょう。しかし、この査収という漢字、どれだけの人が本当の意味や使い方を理解しているのでしょうか?

査収の読み方は「さしゅう」です。漢字の通り「よくしらべて(査)、おさめる(収)」という意味で、ビジネスシーンでは「金額・物品・書類等をよく調べて受け取ること」として使われています。相手に対して確認して受け取るべきものをそえていなければ意味が通じないため、物品を郵送する際の手紙や添付ファイルのあるメールなどに使うのが一般的です。

ただし一般的にはなじみのない言葉のため、自分も相手もよく意味を理解した上で利用することが望ましいといえます。ビジネスメール・文書に関する数多くの著書もある平野友朗氏(アイ・コミュニケーション代表)によれば「ご査収くださいと書いているのだが、どのように行動すればいいのか分からない」と質問されることがあるとのこと。

査収の歴史

「『査収』の語源は中国の清の時代(1644‐1912)から使われていた"動作"を表す漢語。その後日本に伝えられ、広く使われるようになりました」は東北大学国語学研究室の大木先生。その動作を具体的に表すと、『よく調べた上で受け取ること』(広辞苑 第六版)になる。ようするに「"確認して受け取る"という意味ですから、メールに『ご査収ください』と書けば、相手に対し添付書類を"確認する"という作業を依頼していることになります」(平野氏)

「ご査収ください」を使う時のマナーとは

『ご査収ください』という言葉をメールで使っても何のマナー違反はありません。問題があるとすれば相手とその意味が共有されておらず、何をしてほしいのかが伝わらない点です。それに加え一番問題なのは、書き手が意味を把握しないで使っていること。確認すべき書類もないのに『ご査収ください』と書き、相手を戸惑わせてしまうケースもあるようです。

ビジネスメールの達人が『ご査収』を使わない理由

「私の場合、『査収』はメールでは使わないですね。書類などを郵送する際のカバーレターなどには使っていますが……。理由はメールだと、相手に対する指示があいまいになってしまいそうだからです」(平野氏)。その代わりに『添付書類のご確認、よろしくお願い致します』、『念のため、添付させていただきます』と、より具体的な文言を利用するとそうです。

『ご査収』の使い方が正しいのかチェックする方法

お互いが査収の意味を理解しているのなら、メールの中で使うことには問題はありません。ただし、正しい用法で使われているかのチェックは必要。「『査収』は動作を表す漢語ですので、文法上、『指導』や『理解』などと同じように使えばいいのです」(大木先生)。

たとえば『どうぞご査収してください』を検証するなら、査収を指導に変えてみる。すると、『どうぞご指導してください』と何やら違和感のある言いまわしに。こんな場合は用法に問題があると考え、避けるべきと判断しましょう。ほかにも『ご査収のほど宜しくお願いします』や『よろしくご査収下さい』など、考えられる言い方は何通りもあるが、『査収』を『指導』に置き換えてみれば正しい表現かどうかが分かります。

「ご査収」の使い方や例文

  • 会議で使用する資料をメールにを添付しましたので、ご査収のほどよろしくお願いします。

  • 本日の会議資料を改めてお送り致しまし。ご査収くださいますようお願い申し上げます。

  • 請求書を同封いたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

「査収」の類似する言葉

検収や拝受、受領などは、「査収」の類似する言葉と言えるでしょう。


マイナビニュース会員に聞いたアンケート結果

Q.「査収」という言葉を使っていますか?

よく使っている 5.4%
使っている 11.6%
あまり使っていない 26.4%
使っていない 56.6%

使っている人の意見

よく使っている

  • 「メールか郵送で書類を送る際に『ご査収ください』と一言、添えている」(24歳女性/金融・証券/事務系専門職)

  • 「請求書などの書類を送付したときに、受取と確認をお願いする意味をこめて使っています」(30歳女性/情報・IT/事務系専門職)

  • 「見積もり、請求書及び機密性の高い書類や資料を送付した際に、送り先に確認いただくことをお願いする場合に用います」(54歳男性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

  • 「協力部署に情報展開をするときや依頼書を出すときに『ご査収ください』という表現を使う。どちらかというと下手からお願いするときにいう言葉」(26歳男性/自動車関連/技術職)

使っている

  • 「報告書などを上司に見てもらいたいとき」(25歳男性/医薬品・化粧品/技術職)
  • 「検討してほしいときに『ご査収ください』と書きます」(31歳女性/食品・飲料/事務系専門職)
  • 「社内で添付資料をつけてメールを送信するときに『よろしくご査収ください』と使っている」(27歳女性/運輸・倉庫/秘書・アシスタント職)
  • 「依頼があった書類などを郵送またはメールに添付するときの文面に使う。きちんと確認してほしいので」(25歳女性/金融・証券/事務系専門職)

言葉は生き物。相手との関係で使い分けることが大切

『査収』は、文法的には間違いではないしマナー違反という訳でもありませんが、ときと場合によっては意思が伝わらないことがあります。だから、どんなシチュエーションでどのように使えるのかを明確にすることは難しいかもしれません。ただ、使うのなら言葉の意味や使い方をきっちりと理解していることが必須条件、さらには双方がどれだけ言葉の意味を共有できているかなど、使ってもいいシチュエーションなのかを臨機応変に判断することが必要です。

もし使ってもよいかどうか判断できないときは、それは使わないほうがよい場面。ほかの言葉に置き換えるのが得策と言えるでしょう。言葉は、送り側と受け取り側がその言葉に対し同じ理解を持っている場合のみ、その意味が正しく伝わるものなのです。

文●山田忍(エフスタイル)