社会人になったばかりのころ、先輩に「お金を貯めるなら財形だぞ! 」といわれワケも分からないまま手続きをして始めた財形貯蓄。給料天引きということもあり、気がついたらそれなりに貯まっていたという人も多いはず。せっかくまとまったお金になったのに、このまま預けっぱなしでいいのでしょうか? その疑問に、お答えしましょう。

財形貯蓄は預けっぱなしがキホン!

給料から天引きでお金を貯める財形貯蓄は、最も確実な貯蓄方法ですから使わない手はありません。ですから、基本的には預けっぱなしでOK。ただ社会人になったばかりのときに財形を始めた人は、使途を問わない「一般財形」を選んだ人が多いはず。一般財形は1年経てばいつでも自由に払い出しができ、使途も問わない代わり銀行預金などと同じよう利息に税金がかかります。自由に使える貯蓄はこの程度でいいと思うなら、貯蓄残高550万円までは利息が非課税になる「住宅財形」「年金財形」に変更することを考えてみるのはいいかもしれません。

金融機関が提示している金利は定期預金などとほぼ変わらないので、財形でなくてもいいと思うかもしれません。しかし、会社が独自に財形貯蓄を利用する社員に対しての奨励策として「財形給付金制度」「財形基金制度」などを行っていたり、住宅の購入やリフォームの際には融資を低利で利用できたり、利子補給を受けられることもあります。内容は勤務先によって異なるので、詳細がわからない人は一度、担当部署へ問い合わせてみましょう。気がついていないメリットがあるかもしれません。

それでも預け替えを考えるなら、まずは定期預金

一般財形には特にメリットがなかった、転職先に財形制度がないなど、預け替えを考えなくてはいけない場合、まず選択肢になるのは「定期預金」です。超低金利時代のいま、メガバンクの定期預金金利は0.01%。少しでも高い金利をと考えるなら、注目したいのは下図にあるような地方銀行や信用金庫などのインターネット支店。ただし、預入金額などに条件があったり、預入期間を過ぎると普通預金で継続になるといった商品もあります。また入出金を無料でできるATMが近くにないと、思わぬ手数料を払うことにもなりかねませんから、商品内容は細かく確認することを忘れずに。

手続きは店頭のみという金融機関の中にも、好金利の定期預金があります。地元の金融機関をチェックしてみると、お宝預金があるかもしれません。

条件付きで金利が有利になるインターネット支店の定期預金

定期預金を預けるために新しく銀行口座を開設したり、定期的に預け替えをするなんて面倒でムリという人は、利用しやすいネット銀行の定期預金が選択肢になります。高めの金利をつけている主な銀行が下図。インターネット支店から見るとやや見劣りがしますが、メガバンクと比べると5~10倍ですから、検討してみる価値はあります。

金利が高めなネット銀行の定期預金

非課税制度を利用して投資デビューするという方法も

財形貯蓄は預けっぱなしがキホンですが、ある程度まとまったお金が貯まったら、これからは投資商品での運用にデビューするのもひとつの方法です。財形貯蓄で貯めているお金の一部を、投資商品で積み立てていくのです。もちろん投資商品には値動きというリスクがありますが、投資対象を分散して長期間積み立てれば、預金の積立では得られない利回りが期待できます。さらに下表にあるような非課税制度を利用すればコストを抑えることができますから、より運用益を増やすことができます。

運用益などが非課税になる制度

コツコツと貯めてきた財形貯蓄が、まとまった金額になっていて「嬉しい! 」と思いましたよね? お金は貯まってくると、もっともっと増やしたいと思うようになるものです。この機会に、お金を貯めるだけでなく、増やすにはどうしたらいいかを考えてみましょう。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。