マツダ、デンソー、トヨタ自動車の3社は28日、電気自動車の基本構想に関する共同技術開発に向けた契約を締結したと発表した。この共同技術開発を効率的に進めるために新会社を設立し、3社のエンジニアが一堂に会して活動を実施することも発表している。

新会社の体制イメージ

近年、温室効果ガス削減に向けて各国・各地域で規制の強化が進み、一定割合の電動車の販売を義務化するといった新たな規制導入の動きがある。各種規制にも対応しながら、企業として持続的な成長を続けていくためには、幅広いパワートレーンや技術の開発が必要であり、FCVに加えて電気自動車(EV)も必要な開発領域のひとつとなる。

EVの普及・販売台数は当面まだ多いとはいえない中、求められるクルマ像は地域やニーズにより多種多様のため、各自動車会社が単独ですべての市場やセグメントをカバーするには膨大な工数、費用、時間が必要になるという課題がある。

こうした背景があり、マツダ、デンソーおよびトヨタは、市場動向に柔軟かつ迅速に対応するため、幅広いセグメント、車種をカバーできるEVの基本構想に関する技術を共同で開発することに合意した。軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまで幅広い車種群をスコープとし、マツダの「一括企画」や「モデルベース開発」、デンソーの「エレクトロニクス技術」、トヨタの「TNGA」など、各社の強みを持ち寄ることで開発手法そのものを見直すとしている。

10月1日に開設予定の新会社「EV C.A. Spirit」では、ユニットおよび車両についてEVに最適となる性能および機能を規定する特性(コモンアーキテクチャー)の研究、その特性を実現する各ユニットの搭載および車両としての性能を検証、検証を通し車種群として考えた場合の各ユニットおよび各車両の最適構想の検討に取り組んで行くとのこと。

今回の共同技術開発に対して、マツダとトヨタは開発資源を等しく負担するとともに、効率的な開発および既存生産設備の活用を図ることで、各社がリソーセスをクルマ本来の価値追求に注力し、EVを「コモディティ化」させることなく、それぞれのブランド独自の付加価値あるクルマを追及していくとしている。今後は他の自動車メーカーやサプライヤーも参画できるオープンな体制もめざすという。