こんにちは、イラストレーターのシラサキです。街歩き&グルメレポートの第3回。今回は有楽町でございます。有楽町と言えばガード下の赤ちょうちんをはじめ、いつも誰かとなんだかんで出かけていく街です。きっと有楽町は、その日その時誰と歩くかで、組み合わせが無限大に広がるのでしょう。まずは作戦会議とまいりましょう。

シラサキ 「担当Mさんは、有楽町と言えばどんなコースですか?」


担当Mさん 「駅前の『マルイ』で買い物して、銀座方面に抜けてランチですかねぇ。でも、高架下飲みも好きですよ」


「ほほう。いいですね」


「僕のお気に入りは、皇居のお堀を自転車で下って『有楽町国際フォーラム村』でランチを食べてからの、『松屋』屋上でぼんやりするコース。特に春先は最高に気持ちいいですよ」


「楽しそうですね~。今回どういうコースで歩きましょうか?」


「あ、今回街を歩かないコースを考えているんです」


「え……街を歩かない?」


今回は、そんな有楽町の「東京交通会館」をピンポイントでアタックしてみたいと思います。何ということでしょう。街歩きといっているのに街を歩きません。有楽町駅を出てすぐです。なぜ街を歩かないかというと、前回の蒲田で歩きすぎたから。暑かったんです。マイナビニュース担当Mさんと「知らない街を歩いて、知らないお店をのぞいてみよう」をテーマに歩くはずが、ずいぶん怪しくなってきました。それでは早速、有楽町の古城とも言える「東京交通会館」へ、いざ冒険の旅へ!

屋上庭園は絶え間ない乗り物ビュー

8月中旬の木曜日、JR有楽町駅中央口改札で待ち合わせです。雨が上がって良かった。駅前広場に「南町奉行所跡」という史跡があるので、まずはチェック。大きな石組みがベンチになっていて、観光客が腰掛けてアイスクリームを食べています。江戸時代の町行政を担った「南町奉行所」は、宝永4(1707)年よりこの地に移転し、幕末まであったとのこと。再開発の際に沢山の遺構が発見され、石組みの一部を地上に再現しているそうです。

有楽町は天正18(1590)年、徳川家康が江戸に入城した時には「日比谷入江」と言われていた地域。海だったんですね。江戸城にあたる西の高台と東側の低地「江戸前島」との間の入江を、神田山を削った土砂で埋め立てて「まち」を作り、江戸の城下町が発展していったそうです。江戸のまちづくりはまだまだ終わらないので、ざっくり割愛しますね。

昭和40(1965)年、闇市の名残だった通称"すしや横丁"一帯の再開発事業の一環として建てられたのが「東京交通会館」。駅前広場から見上げると、3階まで船の舳先のようにせり出しており、後方に凛としたビルがそびえています。展望レストランも白い顔をのぞかせていて、歴史を感じさせながらも美しいフォルムです。さあ、いよいよ入城です。地下1階の事務所で取材申請を済ませてから、3階の屋上庭園に向かいます。ザッザッザッザッ(階段を下りる音)。

屋上庭園「有楽町コリーヌ」は、有楽町駅を見下ろせる開放的な緑化式庭園です。お子さま連れのお母さんが大勢いて、お話に熱中しているご様子。こちらは新幹線ビュースポットとしても大人気。目線の高さを新幹線が次々と通過していく楽しさは格別です。奥に見える在来線は一段下がっているので見えづらいけど、これもまた乙な光景です。「あれ? あの電車はなんでしょう?」と担当Mさん。「あ! なんだろう?」丸くつるんとした運転席。後で写真で確認したところ、E657系「ときわ」でした。

エレベータホールの反対側にも庭園があり、こちら側は首都高速が目の前。車好きにもたまらないビュースポットです。開業当時はさぞ、SF感満載の眺めであったことでしょう。3階を満喫したので、次に15階「東京會舘 銀座スカイラウンジ」へ上っていきます。

●information
有楽町コリーヌ
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 3F
営業時間: 10:00~16:30

座ったまま360度の展望を

「東京會舘 銀座スカイラウンジ」は、ビル開業時から営業する回転式の展望レストラン。開業から大盛況を呈し、当時銀座一高いビルからの眺望は秩父連山から丹沢、富士山を遠望でき、東京駅周辺の夜景が人々を魅了したとのこと。入場制限や予約券を発行するほど大人気だったそうです。

担当の雪野純さんに案内いただきテーブル席に。雪野さんにお話をうかがうと、80分かけて1周するとのこと。確かにゆっくりコトコトと回転しています。この日は左回りですが、回転は右にも左にも対応するそう。ここで担当Mさん、「私、陸上部のさがで左回りをしたいんです。買い物に行ってもフロアを左回りしたり。左に回っていると、なんだか安心するんですよね」とぽつり。「そんなに気になるのかなぁ?」と思いながら、窓の外を眺めてみます。景観のなんと素晴らしいことか。

「マロンシャンテリー」(980円+サービス料)は生クリームがたっぷり

東京交通会館のエントランスが有楽町駅に面しているので、真っ先に有楽町駅と高架が眼下に広がり、新幹線が足元を通過していきます。東京国際フォーラム、ビックカメラ(旧読売会館)、電気ビルの向こうに、またいくつもの高層ビル、その隙間に皇居の緑が見え隠れして、立体的で複雑なパノラマが広がっています。回転レストランって素晴らしい! 前回の蒲田に続き、どうしてこうも「回る乗り物」には夢と未来が詰まっているのでしょう。

眺望を楽しみながらいただくのは、「マロンシャンテリー」(980円+サービス料)。真っ白い雪のような生クリーム。中には黄色に輝く栗がたっぷり入っています。50年以上前から変わらない大人気のデザートです。ふんわりとして上品な甘さで、おいしい~。夏のパッションマンゴーや、秋にはアールグレイなど、季節限定のマロンシャンテリーも楽しめるそうです。新幹線を見下ろしながら優雅に回転するレストランでの、素敵なティータイムでした。

●information
東京會舘 銀座スカイラウンジ
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 15F
営業時間: 11:00~22:00
定休日: 年中無休(12月30、31日、1月1日は休み)


続いて2階、1階の物産館を巡ります。