8月22日から23日まで、野村證券の大阪支店によって「大阪府債」をテーマとしたインターンシップ・プログラムが開催された。「地元経済の活性化に資する直接金融ビジネス」が体験できる同プログラムに、大阪府下を中心に16大学・150名の学生が集まった。

証券会社の公債に関する業務から、学生たちはどのような学びを得たのだろうか。本稿で詳しく紹介していこう。

今回のインターンシップ・プログラムは昨年に比べ約5倍近い応募があり、16大学から150名もの学生が会場に集まった

金融ビジネスが大阪府の都市力向上に与える影響を知る

大阪府の発行する大阪府債をテーマとした今回のインターンシップ・プログラムは、野村證券大阪支店と、同店の地元である大阪府財務部財政課の連携によって実現されたもの。現在大阪府では、2025年の大阪万博招聘やIR(統合型リゾート)、そして関西へのインバウンド(外国人旅行者)の拠点としての都市力向上を目指し、さまざまな構想が行われている。

「未来の大阪に対し、若者の視点からどのようなIR(投資家向け広報)活動の訴求が行われるか」という点が、今回のインターンシップの注目ポイントだ。また、「大阪府債の引受・販売」という金融ビジネスを直接体験できることは、証券会社のビジネス領域が地域経済へ与える影響を知るという意味で、学生にとっても貴重な経験になるだろう。

証券会社にとっての公債の重要性と影響を知った学生たち

インターンシップは、「直接金融の役割と証券会社の引受業務」の説明からスタート。学生たちは、大阪府債をモデルケースとし、証券会社の主要業務である公債の「引受業務」と「販売業務」を学んだ。引受/販売業務は、証券会社の4大業務(ブローカー、ディーラー、アンダーライター、セリング)に含まれる重要な業務。ポートフォリオの中心となる債券のなかでも、とりわけ公債は安全性・換金性において優れているという。

さて、これらの説明を受け、学生からは、「日本の預金比率がこれほど高いとは知らなかった」といった基礎的な知識への関心や、「安全資産を好むのは自分たち世代でもあまり変わらないと思うが、地方債などのリスクならとれそうだ」といった投資に関する感想、「株式は抵抗があったが、もっと投資にお金を使い日本を活性化していくべきだと感じた」、「地方債は地方が抱えている借金という悪い印象しかなかったが、地方債によって大阪府を充実した場所にできるということが学べた」など、国政や地方行政に関する考え方の変化も伺えた。今回のモデルケースである大阪府債、ひいては地方債に関する知識を事前に備えていた学生は、それほど多くはなかったようだ。

証券会社の引受業務について学ぶ学生たち。公債についての知識を備えていた学生はあまりおらず、考え方に変化のあった学生も少なくないようだ

このほか、「証券会社のセールス(募集・売出)業務」や「大阪府債とIR」についての解説、大阪府財務部財政課から「大阪府の財政状況や府債の安全性」「大阪の都市としての魅力や成長戦略」についての講義が行われた。