混浴露天風呂も含め全6つの浴場

「四万たむら」は7本の自家源泉を所有し、5カ所の男女別浴場と1カ所の混浴露天風呂の全てが源泉かけ流し。高級旅館だが、日帰り入浴も可能だ。入浴料は税込1,730円と少々値が張るが、間違いなくそれだけの価値がある温泉である。姉妹館「四万グランドホテル」の宿泊者は、税込540円の湯巡りパスポートを購入すれば、宿泊当日に加えて翌朝も入浴できる。

「四万たむら」の玄関は、茅葺きの入母屋造りで風格抜群

全ての温泉浴場が素晴らしいが、どれかひとつを選べと言われれば、露天風呂「森のこだま」の名を挙げたい。四季折々の風情を満喫できる上に、温泉も大湯量源泉かけ流しで猛烈にフレッシュな湯だ。河と滝がライトアップされ、夜中でも風情を楽しめるのがいい。なお、夜は宿泊者専用となる。

「四万たむら」を代表する露天風呂「森のこだま」

多数ある内湯の代表格は、檜風呂「御夢想(ごむそう)の湯」。照明が控えめで、やや薄暗い環境だが、総檜造りの素朴な木造建築の風情を一層引き立てており、落ち着いた入浴が楽しめる。もちろん、初めて利用する場合は、全ての浴場に一通り入っておきたいが、リピーターになると「森のこだま」と「御夢想の湯」の入浴に、大半の時間を費やすことになる。何度入っても長時間入っても、全く飽きることがない、日本を代表する名温泉浴場だ。

「四万たむら」を代表する檜風呂「御夢想の湯」

老若男女に愛されるあま~いお豆

最後に、四万温泉のグルメを紹介しよう。地元の特産品は「高原 花まめ」。お着き菓子として、各客室に甘納豆が置かれており、そのおいしさから大好評で、売店の土産物でも一番人気を誇っている。豆菓子と聞くと高齢者向けと思うかもしれないが、筆者の小学生の甥も自発的に購入したほどで、まさに老若男女に受けている。

お着き菓子としても好評な「花豆の甘納豆」(6個入り/税別1,000円)

館内で湯めぐり三昧の「四万たむら」では、水分補給も大切。大浴場「甍の湯」(いらかのゆ)の入口前に冷水機が設置されているが、休憩を兼ねてラウンジ「こてまり」を利用するのもオススメだ。

「若女将おすすめオリジナルスイーツ」は、単なるアイスの盛り合わせに見えるが、実は中に暖かいさつまいもが入っており、温度と甘さが異なる食材のハーモニーが絶品! 一度食べたら、忘れられなくなってしまう。特産の花豆の甘納豆が頂上に飾られ、盛り付けの美しさも楽しめる逸品だ。

「四万たむら」のオリジナルスイーツとコーヒー(いずれも税込550円)

●information
四万温泉「四万たむら」
住所: 群馬県吾妻郡中之条町四万4180
アクセス: JR吾妻線 中之条駅からバス約30分、終点「四万温泉」下車すぐ。または、東京駅発高速バス「四万温泉号」終点下車すぐ

群馬県を代表する名湯、四万温泉の魅力、いかがだっただろうか。今回は夏の観光シーズンに向けて紹介したが、実は四季折々に訪れたい温泉地だ。春の新緑や秋の紅葉も素晴らしく、雪は多くはないものの、冬は天候により雪見風呂も楽しめる。湯量豊富な上に、芯まで温まる泉質なので、涼しい時期や寒い時期に訪れるのもまたいい。

筆者プロフィール: 藤田聡

温泉研究家、オールアバウト「温泉」「紅葉スポット」ガイド。温泉旅行検定試験で2年連続日本一になり、検定協会から「温泉旅行博士」の称号を授与される。温泉地を中心に周辺観光地の取材・撮影を行い、海外旅行にも決して負けない、国内旅行の奥深い魅力をメディアで発信中。紅葉や一本桜、夜景や四季の花などの絶景スポットにも精通している。