社会の問題には安全技術で対応、独特な自動運転技術も投入
マツダが「社会」の課題というのは、交通事故原因の多様化や、過疎地で顕在化する公共交通機関の弱体化、いわゆる「交通弱者」の問題などだ。
事故のないクルマ社会を実現するため、マツダではクルマを作るに際し、ドライビングポジション、ペダルレイアウト、視界視認性、アクティブ・ドライビング・ディスプレイなどの基本安全技術を進化させ、全車標準装備化を進める。安全の観点では、マツダ流の自動運転技術である「Mazda Co-Pilot Concept」を2025年に標準化する方針も示した。
マツダの自動運転は、基本的に人間がクルマを運転し、緊急時にシステムが運転を「オーバーライド」(小飼社長)するのが特徴。ドライバーがミスをしたり、急に体調を崩したりした時に、クルマのシステムが運転を代行するイメージだ。こういった自動運転の在り方にも、「走る歓び」を重要視するマツダの企業姿勢が見てとれる。以前、弊紙で行った藤原専務のインタビューでは、自動運転の実用化で交通弱者に移動手段を提供する構想も示された。
「人」の課題には走りの作り込みで対応
最後に、マツダが解決を目指す「人」の課題とは、いかなるものだろうか。小飼社長は「社会で生活する人々は、機械化や自動化により経済的な豊かさの恩恵を受けているが、一方で、日々体を動かさないことや、人や社会との直接的な関わりが希薄になることで、ストレスが増加していると考える」とし、この課題を解決するため、「より多くの顧客にクルマを運転する『走る歓び』を感じてもらう」ことを目指すとした。
この課題を解決するため、マツダは強みとする「人馬一体」感を今後も研ぎ澄ませていく考えだという。人馬一体やクルマを「意のままに操る」ことは、マツダがかねてから追求してきたテーマ。この領域でも新エンジンが力を発揮するかもしれないし、マイルドハイブリッドのような電動化技術がもたらす加速感が、マツダ車の魅力を高める新たな味となる可能性もあるだろう。