内燃機関に注力は現実路線か

マツダが「地球」「社会」「人」の3つのテーマで設定した課題を解決すべく策定した新たな技術開発の長期ビジョン。説明会に出席した印象では、マツダは「地球」の部分に多くの時間を割いていたようだった。クルマの電動化が加速する業界にありながら、内燃機関のブラッシュアップに注力する姿勢を打ち出すことについて、より深い理解を求めたいというのがマツダの思いなのだろう。

フランスと英国で、2040年までに内燃機関を積む新車の販売を禁止するという政府の方針が示されたこともあり、世界的にクルマの電動化が進んでいく見通しが強まっているようだが、実際のところ、EV全盛時代がいつ訪れるかは誰にも分からない。マツダの長期ビジョンは2030年を見越したものであり、次の長期ビジョンが策定される頃には、クルマの電動化が実際にどのようなスピード感で進むのかについて、今よりも明確に答えが出ているだろう。

説明会で示された予測の通り、2035年時点で地球上を走行する84%のクルマが何らかの形で内燃機関を積んでいるとすれば、その内燃機関を磨き上げるというマツダの戦略は、自動車メーカーが現時点で打ち出すことができるビジョンとして、1つの現実的な路線を示したものといえそうだ。